耳鼻科で扱う代表的な症状
耳が痛い
小学生よりも小さなお子さんでは、まず急性中耳炎が疑われます。小学校高学年以上あるいは成人では耳かきのしすぎが原因になることがあります。まれに髄膜炎を引き起こすような中耳炎やでき物が原因になっていることがあります。吐き気や高熱を伴うときには注意してください。
耳が聞こえない
小さなお子さんでは中耳炎がまず考えられます。成人では突発性難聴で突然片方の耳が聞こえなくなることがあります。この場合は聞こえなくなってから治療開始までに2週間を越えると治療が難しくなることがあります。年輩の方では加齢に伴う神経性難聴も考えられますが、騒音の中で仕事を長くされた方に多いようです。
ことばが聞き取れない
いわゆる高齢者難聴では音は聞こえてもことばがわからないことが多くあります。このような方には大きな声で話しかけるより、ゆっくり話しかけた方が効果的な場合が多いです。小さなお子さんでは生まれつき聞こえにくい場合にことばが聞き取れなくなる場合があります。
耳だれがでる
中耳炎がまず考えられます。中耳炎のなかには耳だれがきっかけに増悪するものもあります。まれにでき物が原因になることがあります。
耳鳴りがする
難聴に伴って、耳が鳴ることが多いようです。耳鳴りがしても、何年も同じような音であればあまり心配は要りません。耳鳴りの大きさや高さが変わったときには難聴が進行していることも考えられます。まれに、肩こり、脳の神経のでき物、体の塩分異常などが耳鳴りの原因になっていることもあります。
めまいがする
三半規管などの内耳の調子が悪くなってグルグル回るメニエール病や頭を動かすと短時間くるくると回る良性発作性頭位めまい、ウィルスの感染による前庭神経炎などが考えられます。メニエール病は難聴を伴うことがあります。ほかに不整脈、自律神経失調、脳の病気でめまいが起こることもあります。
鼻水がでる
黄色や緑色の鼻水は鼻風邪や副鼻腔炎(蓄膿症)が疑われます。透明でサラサラした鼻水ではアレルギー性鼻炎が疑われます。悪臭のある鼻水や鼻血を伴う鼻水はでき物が原因になっていることがあります。
鼻やほっぺたが痛い
ほとんどの場合は鼻風邪や副鼻腔炎(蓄膿症)が原因になります。まれにでき物が原因になっていることがあります。
鼻血がでる
ほとんどの場合で、鼻をいじりすぎたことで鼻血がでます。この場合、鼻をつまめば止まります。このとき、仰向けに寝たり、上を向いたりすると鼻血がのどに流れて、気持ち悪くなることがあります。年輩の方では耳鼻科で処置をしないと止まらないこともあります。まれにでき物が原因で鼻血がでることがあります。鼻血が止まるまでに時間がかかるようですと、血液や血管に異常があることもあります。
鼻がつまる
アレルギー性鼻炎の症状として、鼻がつまることが多いのですが、鼻風邪や副鼻腔炎(蓄膿症)でも鼻はつまります。さらに鼻ポリープ(鼻たけ)や鼻中隔彎曲症が鼻づまりの原因になることがあります。小さなお子さんですと扁桃炎や扁桃肥大が原因になることがあります。片方だけの鼻がいつも詰まっている方は耳鼻科での診察をお勧めします。
においがしない
鼻づまりによって、においを感じる神経までにおいの物質が到達しないことでにおいは低下します。風邪などがきっかけでにおいの神経そのものが弱ってしまうことがありますが、この場合はにおいが回復するまでに時間を要します。においの感じ方が低下すると味覚まで変化します。
舌が痛い
多くの場合口内炎が原因になります。口内炎が10日以上治らなかったり、どんどん大きくなるときは耳鼻科での診察をお勧めします。ビタミン不足や鉄などのミネラル不足で口内炎は出来やすくなりますが、高齢の方ではとくに原因がなくても舌の痛みが続くことがあります。
味がしない
風邪をひいた後に味覚が低下することが多いですが、多くは一時的です。長期間続く場合には、亜鉛などの栄養素が体から不足しているときがあります。また、唾液の成分が変わったり、嗅覚が低下したりしても味覚が低下することがあり、必ずしも舌の病気によるものとは限りません。まれに薬物による味覚障害もあります。
耳の下が痛い
耳の下が痛くて、熱を伴い、体がだるいときには耳下腺炎を疑います。有名な耳下腺炎として「おたふく風邪」がありますが、合併症に髄膜炎、難聴、糖尿病などが発生することもあり、注意が必要です。幼児や小学生のお子さんが何度も耳下腺炎になるときは、小学高学年になるまで繰り返すことがあります。アゴの関節が痛んだり、扁桃炎になっても同じような痛みが起きることがあります。
ご飯を食べるとアゴの下が腫れる
唾液を作るところがアゴの下にありますが、唾液を作っても口まで出せない場合にこのようなことが起きます。多くは、唾液を作るところにばい菌がついて、これが石のように固い固まりになって、唾液を出すための管につまってしまって起こります。
のどが痛い
風邪がまず考えられます。しかし、1週間以上続くのどの痛みは風邪以外の病気あるいは扁桃炎がこじれている場合が想定されます。同じ場所が続けて痛い場合にはでき物ができている場合も考えられます。また、扁桃炎がこじれた状態を放置しておくと突然息ができなくなることもありますので、注意が必要です。
イビキが大きい
のどの形や広さ、鼻づまりの程度で、イビキの大きさは決まります。イビキが大きいだけであれば問題はないのですが、イビキの大きい人の中には睡眠中に息が止まってしまう人もいます。睡眠時無呼吸症候群といいますが、突然死との関連が問題になっています。
頻回に熱が出る
扁桃炎が周期的に起きることでなることが多いのですが、ほかに肺炎や腎臓の炎症でも起きることがあります。理由がわからないときに扁桃を取ってみて、熱がでなくなるかどうかをみることがあります。
のどに何かがひっかかる
のどにでき物ができて、のどの異物感として感じることがありますが、何もなくて異物感を感じることもあります。時として、異物感を感じ始めてから何ヶ月も経ってからでき物が見つかることがありますから、異物感がある間は検査を繰り返す必要があります。また、鼻水がのどに流れても同じような異常感がつづくことがあります。高齢な方では、飲みきれない唾液を異物として感じることがあり、その場合ものを飲み込む力が弱くなっている場合があります。
声が嗄れる
風邪で声が嗄れるのが一般的です。この場合、声がれは2週間程度続くことがありますが、それ以上長引くときにはポリープやでき物が出来ていたりします。特に風邪で声が嗄れているときに、無理に声を出すとポリープが出来やすくなります。心臓や胸などの手術の後に声が嗄れたときには、大きな声が出にくいことが問題になり、声を大きくするための手術をすることがあります。
くびが腫れている
くびには沢山のリンパ節があり、これらが様々な理由で腫れます。お子さんが熱を伴って、腫らしたときには風疹が最も疑わしいのですが、ときに川崎病など緊急性のある病気でも同じように腫れます。成人では扁桃炎に伴ってくびが腫れることが多いのですが、でき物がのどのどこかに出来て首が腫れることもあります。
頭が痛い
風邪によるのどの天井の腫れで頭が痛くなることが多いです。そのほかに蓄膿症でも頭が痛くなりますが、おでこを中心に頭が重たい感じが特徴になります。脳の病気による頭痛と区別ができないこともありますから、しつこい頭痛や吐き気を伴うぐらいの激しい頭痛は病院で検査を受けることをお勧めします。
顔が曲がった・口から水がこぼれる
「朝起きたら顔が曲がっていた」とか、「口がしまり切らないで、水が口からこぼれる」とかの症状は顔面神経麻痺で起こります。多くの場合、症状が出始めてからなるべく早く治療を始めれば、治ります。耳痛やめまい、難聴を伴うときは顔面神経にウィルスがとりついていて、治りにくかったり、良くなるまでの時間がかかったりします。中耳炎などの耳の病気、耳下腺のでき物、脳梗塞などでも顔面神経麻痺はおきることがあります。
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