North Asia Regional Conference北アジア地域会議
広島宣言
広島 2005年8月21日
広島・長崎の原爆被爆から60年が経過した今日、なお世界には2万発以上の核弾頭が存在し、その多くは臨戦態勢にある。米国のブッシュ政権は、核ミサイルによる先制攻撃の権利があることを明言し、安易に使用可能な小型核の開発に余念がない。
米英主導による多国籍軍の攻撃にさらされたアフガニスタンやイラクでは、未だに治安の安定が得られておらず、攻撃とテロの連鎖がエスカレートしたままの状態にある。核兵器・核分裂物質の保管状態に不備が想定されている旧ソ連圏諸国において、盗難によるそれらの流出と、テロリストによる入手が懸念されている。
本年5月、米国のニューヨークで行われたNPT(核不拡散条約)再検討会議は、核兵器国と非核兵器国の間で妥協点が見出されず、何ら成果なく閉会した。NPT体制における核兵器国は第6条に定められた核軍縮の義務を誠実に履行しておらず、事実上の核兵器保有国と保有疑惑国はむしろ増加し、NPT体制の存続自体が危ぶまれる事態となっている。
北東アジアにおいても、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が核兵器の開発を示唆する発言を繰り返していたが、本年核兵器の保有を宣言するに至った。一方、最近再開された6カ国協議は、多くの人々に希望をもたらし始めた。IPPNW北アジア地域は、この協議を歓迎し、朝鮮半島を非核兵器地帯にするための実質的進歩が見られることを希望している。目的達成のために、我々は力の限りを尽くす。
このような緊迫した状況下、原爆被爆60周年の広島で開催された「第5回IPPNW北アジア地域会議」に、北アジア地域をはじめ13カ国から集まった医師、研究者、医学生、ならびに一般市民は、このたびIPPNWに加盟し、すでに「非核兵器国」として国連に認定されているモンゴル共和国を良き手本とし、世界平和市長会議とともに、朝鮮半島の安定化と北東アジア地域の非核兵器化に努力を続けることを、ここに宣言する。