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North Asia Regional Conference

第2回IPPNW北アジア地域会議
北京宣言
1999年10月16日

私たち、中華人民共和国、日本、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国のIPPNW支部の代表は、他の7カ国のIPPNW支部の代表と共に、ここ北京に集まり、2日間にわたり協議を行った。中華人民共和国における初のIPPNW会議となったこの会議のために、極めて周到な準備と運営をされた組織委員会並びに中国医師会に対して、心より謝意を表明する。

北アジア地域の人々は、歴史と文化に根差した強い共通のルーツを有するが、とくにこの50年間は、相互間の意思疎通と協力関係は根深い軍事的・政治的要因により著しく妨げられている。とりわけ朝鮮半島を二分している強力な緊張は、外部勢力の介入で高まり、このことが軍備拡張が続く原因となっている。私たちは、朝鮮半島が平和裡に再統一され、それによってこの地域に平和と安全保障がもたらされることを期待する。共通の職業的絆で結ばれた私たち医師は、放置すればますます高くなる障壁を、友情と相互理解でもって越える機会に恵まれている。私たちは、お互いの絆を強め、人類の健康と恒久平和に共にコミットメントするためにここに集まった。

どの国の国民でも、大量殺戮兵器の攻撃を受ければ、それが核兵器であれ、化学兵器であれ、あるいは生物兵器や地雷であれ、医学的な救済は事実上できない。だから、医師にはこのような事態を予防するための有効な戦略を探る責任がある。世界にはまだ数万発の核弾頭が存在し、これらが突如危機をもたらす恐れがあることを、私たちはここで再認識した。核兵器廃絶へ向けて可能な限りのあらゆる方策を真剣に考えるよう要求する。その方策には、核保有国が、先制核不使用の条約を結ぶこと、および非核保有国に対し核兵器で攻撃したり威嚇しないという保証をすることを含む。私たちは、非常に多くの核弾頭が、常時発射寸前の状態におかれていることを憂慮する。米国、ロシアをはじめ他の核保有国は、即時発射状態におかれている全ての核兵器を解除するための条約の交渉に入るよう求める。そうすることで偶発的な、あるいはミスによる核兵器の発射の危険性が少なくなるであろう。北アジア地域内には特に非核兵器地帯をつくることを奨励する。私たちは、また、これらの方策に関するモデル条約案を作成するための研究が、地域レベルで実施されることを勧告する。こうした地域条約ができれば、核兵器全廃に関するグローバルな条約の締結に向けて更なる前進をもたらすであろう。

第2回IPPNW北アジア地域会議は、今週、米国上院が包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を否決したことを激しく非難する。この否決は、核兵器廃絶を切望する国際社会を蔑ろにするものであり、来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議にも深刻な影を落とすものである。米国が核軍縮への道を歩み出して初めて、他の核兵器保有国も自信を持って核軍縮に取り組む、と私たちは確信する。それが、アメリカの、アジアの、そして世界中の子供達のために、この傷つきやすい地球を救うのに役立つのであり、米国民は今こそ、自国政府に対して、核兵器問題に関するリーダーシップを取るよう強く働きかけるべきである。

(原文 英語、翻訳 IPPNW日本支部)

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