家庭で知っておきたい脳卒中の救急
脳卒中が起こったらどうしたらいいの?
脳卒中が起きた場合、どうすればよいでしょうか。 まず、頭を高くしないで、適当な場所に静かに移します。移動の際、頭ががくがく動かないように、首に手を当てながら移してください。昔は、「脳卒中が起き た場所にそのまま寝かせておきなさい、動かしてはいけない」というように安静が重要視されていましたが、現在まず安全を確保して後できるだけ早く救急車に よる搬送と急性期治療が必要です。
大切なのは、頭があまり動かないようにして、頭を水平にした状態で寝させてあげることです。頭を上げると脳への血の巡りが悪くなり、さらに意識が かすれ麻痺やしびれが悪くなるからです。ただし、その時の状態によって横向けにすることも必要です。例えば嘔吐が強い場合は横に向けないと危険ですし、麻 痺がはっきりしていたら麻痺側を上にして横向けにしなければなりません。
次に、掛かりつけの先生に病状を正確に伝えることが大事です。掛かりつけの先生に電話をかけ、慌てないで必要なこと「いつからどこでどうなったの か」を伝え、医師の指示に基づいて救急車で患者さんを運ぶことです。できるかぎり専門医のいる病院に運ぶのが良いでしょう。大事なのは、どんなに軽い脳卒 中でも発症直後は入院が原則ということです。
脳卒中であるかどうかを見分けることが必要となりますが、症状を見て大まかに判断して下さい。特に、意識が無い、体の片側の麻痺がある、言葉が出にくい、呂律がまわらない等の症状があれば脳卒中だと思われます。医師に伝えるべきことは、(1)いつ、(2)どこで、(3)何をしている時に起こったか、これである程度の病型の判断ができる場合もあります。それから、頭痛があるかどうか、めまいがあるか、しびれがあるかなどを、言葉が出る場合はご本人に聞いてください。さらに、けいれんが起こっていないか、以上の内容を電話で伝えたいものです。
これらの情報から医師が判断して、「すぐ来て下さい」、「今から往診に行くから待って下さい」、「救急車をすぐ呼んでください」などの指示が出ることになります。以上まとめますと、脳卒中が起きたときの対応のポイントは、(1)頭を高くしないで適当な場所に静かに移す。(2)かかりつけの先生に病状を正確に伝える。(3)医師の指示に基づいて救急車で患者さんを運ぶ。(4)どんなに軽い脳卒中でも入院が原則、となります。
発作時の対処法
発作を起こしたら ― すぐに救急車を呼ぶ
周囲の人が脳卒中と疑われるような発作症状を起こした場合は、あわてずおちついて行動することが大切です。すぐに救急車を呼んで専門医のいる病院 へ搬送してもらうことが大切です。「救急」であることを伝え、現在地や患者さんの性別、年齢、意識の状態や症状などを説明します。いずれにしても「しばら く様子を見よう」というのは禁物です。一刻も早く専門の医療機関を受診するようにしてください。
救急車が来るまでに ― 適切な場所に寝かせる。症状をメモしておく。
交通量の多いところや直射日光の当たる場所で発作を起こした場合は、救急車が到着するまでの間に安全で日陰の多い場所に移します。患者さんに意識 があっても、自分で立たせると、症状が悪化する危険性があるため、避けてください。そして衣服やベルトを緩めます。吐き気がある場合は、あお向けではな く、横向きに寝かせると、吐いた物で気道がふさがれる心配もありません。また症状をメモしておくと、受診先の医師などに、要領よく説明できるでしょう。
周囲の人たちがすべきこと
1 適切な場所に移動させる
布団などに患者さんを乗せて、救急隊が応急処置をしやすく、運びやすい場所に移動させる。野外の場合は、風通しの良い日影へ運ぶ。意識があっても自分で立たせない。
患者さんが歩くと、脳血流量が減少し、症状が悪化する可能性があるため、歩かせない。


2 静かに寝かせて衣服を緩める
静かに寝かせて、ネクタイ、ベルト、腕時計など、体を締め付けているものを外し、襟元やウエストを緩める。眼鏡や入れ歯なども外しておく。
呼吸が苦しそうなときは、巻いたタオルや座布団などを肩の下に入れる。気道をふさぐので頭の下に枕をいれないこと。
吐きそうな場合は、麻痺がある側を上にして、体ごと横向きにする。こうすると、吐いた物が気道に詰まるのを防ぐことができる。

