小児科 川崎病
川崎病って?
日本の川崎富作先生によって1967年に初めて報告されたためその名がつきました。川崎病の約9割は5歳未満(生後6~8ヵ月がピーク)の子どもで、日本では年間1万人前後が発症しています。高熱が続き、最初は通常の感染症と区別がつきません。抗生物質を投与したりしても熱が下がらず、しだいに熱以外のさまざまな症状が出現してきます。明らかな原因は不明ですが、何らかの病原体の感染とそれによって引き起こされる過剰な免疫反応による全身の血管の炎症と考えられています。川崎病で一番問題となる合併症は、心臓の周りにあって心臓に血液を送る冠動脈という血管にコブ(冠動脈瘤)ができることですが、治療法の進歩によりその割合はかなり少なくなってきました。
症状と診断は?
川崎病に特徴的な症状は6つあります。
①39~40℃の高熱が5日以上続く。②両方の目が充血して赤くなる。③唇が赤くなり、乾燥し切れて出血したりする。また舌が赤くなり表面にブツブツができる(いちご舌)。④発熱から少し遅れて赤い発疹が体に出現する。BCGを打ったことのある赤ちゃんでは接種した部分が赤くなることもある。⑤手のひらが赤くなり、手足の指がパンパンに腫れて硬くなる。さらに良くなってくるころから指先の皮がむけてくる。⑥首のリンパ節が腫れる。
これらの症状が経過とともに徐々にそろってきます。この6症状のうちの5つか、4つでも心エコー検査などで心臓に合併症の所見が認められた場合に、川崎病と診断されます。
治療はどうするの?
川崎病と診断されたら、入院して治療を受けることになります。通常、大量のガンマグロブリンを点滴し、アスピリンという薬を飲みます。一回のガンマグロブリン点滴で症状が改善しない場合には、もう一度ガンマグロブリンを投与したり、ステロイド剤を投与することもあります。治療に良く反応し心臓の後遺症なく治った場合には、数週間で退院できます。退院後もしばらくアスピリンを飲みますが、再来時に血液検査、心エコーなどの検査を行い問題なければ内服を中止します。入院中に冠動脈瘤が見つかった場合は、退院後も長期間アスピリンなどの薬を飲み続けながら専門医による定期的なフォローが必要となります。血液検査、胸部エックス線撮影、心電図、心エコー、心臓カテーテル検査などを行ってゆきます。特に重い心合併症のあるお子さんを除いて、退院後の生活に制限はいりませんが、ガンマグロブリンを点滴した日から6ヵ月程度は生ワクチンの接種はできません。