眼科 目の感染症

子どもに生じる目の感染症(瞼の病気・結膜炎)についてです。

(写真1)
(写真1)
(写真2)
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(写真3)
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(写真4)
(写真4)
(写真5)
(写真5)
(写真6)
(写真6)

●病原体の種類は、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などがありますが、最も多いのは細菌感染です。

●瞼の病気で目立つのは、麦粒腫、霰粒腫があります。これはめぼ、ものもらい、ともよばれています。瞼にはマイボーム腺という、分泌腺があり、瞼のふちに開口しています。その中に細菌が感染しますと、膿がたまり、赤く腫れてきます。これが麦粒腫(写真1)です。

治療は、抗生物質の点眼と内服。外科的治療(切開)もありますが、子どもさんの場合は、嫌がることが多く、薬で気長に治療するのが得策です。必ず治癒していきます。

(写真2)は発症時で薬のみで縮小(写真3)しています。

また、感染ではなく、ゼリー状の肉芽が溜まって瞼が腫れてくることがあります。これが霰粒腫(写真4)です。発赤や痛みがないことが多いです。

大きく腫れて邪魔になれば、切開して内容物を袋ごと摘出しますが、自然に小さくなることもあります。(写真5)は瞼の裏側で霰粒腫が破れて内容物が少し出てきています。

●結膜炎

眼脂(目やに)と結膜充血(白目が線を引いたように赤くなる(写真6))を特徴とします。

主に細菌性のものとウイルス性のものがあります。眼脂の色が細菌では黄白色、ウイルスでは無色透明なことが多いですが、区別は難しく、その治療も異なるため、眼科医での診断と治療が必要です。

子どもの場合、その時期によって感染形態が異なります。

●新生児

垂直感染が主で、母親の産道を通過するときに感染します。

2日~5日と早期に発症するものに淋菌性結膜炎があり、重篤です。

2日~14日と少し遅れて発症するものにクラミジア結膜炎があります。

●新生児~乳児

先天性鼻涙管閉塞症に注意が必要です。

生後まもなく、持続する眼脂・流涙が特徴です。これは涙が鼻腔に流れる管が出生時にうまく開かないことで、涙がたまり、涙嚢に感染を起こしたりします。

充血はわずかなことが多く、自然治癒傾向が強い病気ですが、3ヵ月あたりで持続する場合は、眼科受診をお勧めします。

●乳幼児

全体に赤く腫れる結膜充血が特徴です。インフルエンザ菌による結膜炎がほとんどです。抗生剤の点眼でほとんどの場合治癒します。

●学童期

流行性角結膜炎(はやりめ)、充血・眼脂と異物感、灼熱感があります。

瞼が腫れ、耳の下にあるリンパ節が腫れて、痛みを伴うのが特徴です。

常片眼に発症し、数日して他眼に発症することがあります。

原因はアデノウイルスです。

流行性角結膜炎患者との接触歴があり、発症までに潜伏期間(1~2週間)があるのが特徴です。

治療は特効薬がないため、炎症や痛みを抑えることが主となります。しばしばステロイド点眼を使用します。また偽膜を除去することもあります。

通常1週~10日あたりで落ち着いてきますが、他人への感染予防が必要です。