産婦人科 生殖補助医療について

体外受精-胚移植とはどんな治療法ですか?

体外受精-胚移植とは精子と卵子を体の外で受精させて受精卵とし(体外受精)、それをさらに培養して細胞分裂の始まった段階(胚と呼ばれる状態)で子宮の中に入れる(胚移植)治療法です。約20年前にイギリスで初めて成功しました。体外受精-胚移植は英語でIn Vitro Fertilization and Embryo Transferと言い、その頭文字をとってIVF-ETとも呼ばれます。

体外受精-胚移植はどんな人に有効な治療法ですか?

卵管が通じていない人や、卵管が癒着などでその動きが障害されて妊娠できない人(卵管性不妊)に最も適した治療法と言えます。また、最近増えてきている子宮内膜症のある人や様々な不妊症の検査や治療を行ったにもかかわらず妊娠できない人(原因不明不妊、難治性不妊)にも有効とされています。さらに最近では顕微授精という方法が精子に問題のある男性不妊の場合に用いられています。

実際の体外受精-胚移植はどのように行われるのですか?

  1. 1.排卵誘発剤を使用して卵巣の中の卵子を排卵直前の状態まで成熟させます。
  2. 2.排卵直前の状態にまで発育した卵子を、経膣的に穿刺針を用いて吸引採取します。
  3. 3.卵子の吸引採取と並行して精液を採取し、治療に用いる精子を準備します。
  4. 4.選別した精子と卵子を一緒にして受精させ受精卵の状態にします。
  5. 5.さらに培養し胚という状態まで育てます。
  6. 6.胚を子宮内に移植します。
  7. 7.胚移植後は妊娠が成立しやすいホルモン環境をつくります。

体外受精-胚移植の妊娠率(成功率)はどれくらいですか?

日本産科婦人科学会が集計した平成16年の妊娠率は、一回の移植周期あたり30.4%となっています。しかし人によって状態はさまざまですから一概には言えません。移植する胚の数と女性の年齢は妊娠率に大きな影響を与えます。移植する胚の数を多くすればするほど妊娠率は上昇しますが多胎妊娠が多くなってしまいます。また若い方は妊娠しやすく、40歳以上の場合は非常に妊娠しにくいこともわかっています。