産婦人科 不育症って?

明確な定義はありません。「着床完了(妊娠3週5日)した生命体を発育維持させる機構の障害、あるいは生命体自身の繰り返す障害」のことをいいます。流産、早産、死産を繰り返すような状態です。危険因子として、ストレス、染色体因子(20%)、子宮形態因子(4%、14~16%)、内分泌因子(25%)、代謝因子(2%)、自己免疫因子(20%)、同種免疫因子(35%)などがあります。

【流産の頻度】

  1. 臨床的妊娠~妊娠8週未満の流産:10%
  2. 妊娠8週~妊娠22週未満:5%

【危険因子】

  1. 1.ストレス
  2. 2.染色体因子(20%)
  3. 3.子宮形態因子(4%、14~16%)
  4. 4.内分泌因子(25%)
    黄体機能不全
    高プロラクチン血症
  5. 5.代謝因子(2%)
  6. 6.自己免疫因子(20%)
  7. 7.同種免疫因子(35%)

主な検査

  1. 夫婦の染色体血液検査
  2. 子宮形態検査
  3. 子宮卵管造影検査
  4. 経膣超音波検査
  5. 卵巣機能検査
  6. 血中プロラクチン検査
  7. 甲状腺機能検査
  8. 糖代謝検査
  9. 凝固検査
  10. 感染症検査
  11. 自己抗体検査
  12. ナチュラルキラー(NK)免疫細胞検査

主な治療

抗リン脂質抗体陽性例に対する治療

  1. 免疫抑制療法
    副腎皮質ステロイドホルモン(プレドニン)または柴苓湯(7.5g/日)
  2. 抗凝固療法
    低用量アスピリン(81mg/日)、ヘパリン療法
    *妊娠の約3ヶ月前から治療を開始し、抗リン脂質抗体の低下を確認しておく
    **プレドニン:30mg/日から開始、5mg/2週漸減、5mg/日で維持

NK細胞活性高値例に対する治療

  1. 夫リンパ球免疫療法
    臨床応用されて約20年経過したがその有効性の評価は一定していない
    適応症例の確立が十分まだなされていない
  2. ガンマグロブリン大量療法
    400mg/kg/日3日間静脈内投与/4週