知っておきたいこころの救急
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3かつ多層的になっており、従来の「ストレス社会」や「過労」の枠組みでは捉えきれない側面が数多く存在します。以下にお示しするように、デジタル化や社会構造の変化といったマクロな要因に加え、ヤングケアラー、ネットカフェ難民、8050問題、デジタル依存症など、可視化されにくい問題など「こころの負担」は多様化しています。⑴デジタル化・リモート化と「孤独の深化」なり、対面での関係性に支えられていた「安心感」や「雑談の中での気づき」が減少しています。リモートワークの普及により、仕事上のコミュニケーションは効率化されましたが、感情的なつながりが断たれることで、孤立感や無力感が増すという副作用も報告されています。⑵働き方改革と「自己責任感」の圧迫「誰にも頼れない」「失敗は自分の責任」といったプレッシャーが強くなりました。こうした構造は、特に若年層において燃え尽き症候群や自己肯定感の低下を引き起こしやすくなっています。⑴ヤングケアラー:支える側の子どもたちの孤立生活や学業に支障をきたすだけでなく、自分の感情を表現する機会も奪われがちです。彼らのこころの負担は、学校や地域社会の目が届かない中で深刻化しやすく、早期の介入が困難です。現代社会におけるメンタルヘルス問題は、その背景や構造が極めて複雑テクノロジーの進展により利便性が増した一方で、人との接触が希薄に柔軟な働き方が可能になった反面、成果主義や個人評価の徹底により、家庭内で病気や障がいのある家族の世話を担うヤングケアラーは、日常1.社会構造の変化による「こころの負担」の拡大2.見えにくい貧困と「自己責任感」の圧迫第1章現代社会におけるメンタルヘルス問題現代社会におけるメンタルヘルス問題

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