29令和7年9月9日 この冊子では、「知っておきたいこころの救急」と題し、こころの危機のサイン、初期対応、医療機関や公的な相談機関へのつながり方について解説しました。特に、子どもや高齢者に想定されるこころの危機、働く人のメンタルヘルスについては詳しく説明しました。また、コロナ禍や自然災害といった社会的な要因がこころに与える影響など現代社会が抱える重要な課題にも触れています。 「こころの救急」は、身体の救急と同様に、「早期発見・早期介入」が何よりも重要です。こころの不調は目に見えにくく、本人も周囲も気づきにくいことがありますが、だからこそ、私たちがそのサインに敏感になり、知識を持ち、適切な行動を取ることが求められます。 この冊子を通じて、皆さまに最も伝えたいメッセージは、「あなたは一人ではない」ということです。もしあなたがこころの危機に瀕しているのなら、あるいは大切な人が苦しんでいるのなら、決して一人で抱え込まないでください。周りには、理解し、支え、助けてくれる人が必ずいます。そして、医療機関や公的な相談機関は、いつでもあなたの助けとなる準備ができています。助けを求めることは、弱さの表れではなく、自らの健康を守り、より良く生きるための「勇気ある行動」なのです。 この冊子が、皆さまがこころの健康について考え、行動を起こすきっかけとなり、より多くの人々が「こころの危機」を乗り越え、自分らしく生きられる社会の実現に貢献できることをこころから願っています。特定医療法人大慈会 三原病院 院長町野 彰彦おわりに
元のページ ../index.html#32