知っておきたいこころの救急
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17子どもと高齢者は、その発達段階や身体状況、置かれている環境に特別な配慮が必要です。日本社会の高齢化が進む中で、高齢者のこころのケアは喫緊の課題となっています。ごされがちです。発達途上にあるため、症状が多様で、言葉でうまく表現できないこともあります。 • 職場におけるメンタルヘルス対策:企業によっては、社員のメンタルヘルスをサポートする体制が整備されています。産業医や産業保健師に相談でき、企業の従業員支援プログラム(EAP)を利用できる場合もあります。「こころの救急」は、年齢によってその現れ方や対応が異なります。特に、子どもの精神的な危機は、大人とは異なる形で現れることが多く、見過 • 幼少期虐待の影響:幼少期の虐待(身体的・心理的・性的・ネグレクト)は、子どもの成長に多大な悪影響を及ぼし、長期にわたってこころの傷を残します。極端な行動、人への強い不信感、感情表現の困難、過度な反抗、自傷行為(リストカット、過食など)、解離症状(自分がここにいないような感覚)など、多岐にわたるサインが見られます。周囲の大人が、日常のささいな変化にも敏感になり、疑いの目を持つことが重要です。 • 児童思春期の特有の課題:この時期は、心身の発達、友人関係、学業、将来への不安など、多くの変化に直面するため、こころのバランスを崩しやすい時期です。いじめ、不登校、発達障害(ADHD、ASDなど)に伴う二次的な不安やうつ症状、摂食障害、自傷行為・自殺念慮などが特に注意すべき問題です。1.子どもの精神的危機と対応第6章子どもと高齢者のこころの救急子どもと高齢者のこころの救急

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