守る命つなぐ希望 災害時に役立つ基本知識と最先端技術
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29 本書では、災害医療と救急医療の違いについて述べました。いずれも急患を治療するという点では共通点がありますが、災害医療の特徴は、医療設備や資源の量に対して患者数が多くなっていることです。膨れ上がった患者数を適切に治療するためには、順番に診察したり、無作為に診察したりするのではなく、患者情報を適切に整理し、重症度に応じて医療資源を効果的に傾斜配分することが重要です。この考え方は、西日本豪雨や能登半島地震などの大規模自然災害時だけでなく、G7広島サミットや新型コロナウイルス・パンデミックなど、短期間で患者さんが急増する可能性のある状況にも応用できます。 一般市民の皆さんは、普段から災害時に必要な物資を備蓄し、避難計画を確認しておくことが重要です。また、基本的な応急手当の知識を身につけ、正確な情報収集の方法を習得しておくことも有用です。 災害医療は、一人の力だけでは乗り越えられません。医療従事者と一般市民が協力することで、みんなが安心して暮らせる街づくりを目指していきたいと思います。広島大学大学院 救急集中治療医学大 下  慎一郎令和6年9月9日おわりに

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