25図17 ECMO前人工呼吸日数と死亡率 ECMO開始前の人工呼吸日数が長くなるほど、生存率が低下していることを示しています。このため、ひとたび、患者さんが重症化して人工呼吸器を開始したら、ECMOを使用すべきかどうかを迅速に判断する必要があります。ECMOには、出血・血栓・感染症などの重篤な合併症が起こりえますので、この判断は迅速かつ慎重に行う必要があります。 Ohshimo S. Crit Care 2022;26:354を引用・改編して、日本の生存率は36%と低く、世界最低レベルでした。ECMOを十分に使いこなすには、付け焼刃で使うのではなく、長期にわたる十分な訓練が必要だったのです。当時の日本には、ECMOを十分に上手く活用できる技術と知識を持った医師は、ほとんどいませんでした。このため私は、アメリカ(ミシガン)、スウェーデン(カロリンスカ)、イギリス(ロンドン、ケンブリッジ)など、ECMO技術が進んだ海外の大学で技術と知識を学びました。…2012年以降は定期的に全国講習会を開催し、同じ志を持つ医師や看護師・臨床工学技士に、海外で学んできたことを指導してきました。そして、コロナ禍における日本のECMO生存率は66%まで向上し、これは世界トップレベルの成績となりました(図18)。さらに、広島大学病院救急集中治療科でも、ECMOの技術を磨き続け、生存率は90%を超えるまでに成長しました。そして、2019年末~2020年初にかけて、日本でも新型コロナウイルス感染症が大流行し、人工呼吸器では救命できない患者さんが多数発
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