コロナ流行期における医療トリアージと災害医療22図14 野外手術ユニット(FOS) A 広島みなと公園に自衛隊テントのような簡易施設を設置し、銃や刃物・爆弾によ B 内部には緊急手術ができる設備のほか、レントゲン・血液検査・輸血なども行える負傷に対して緊急手術を行える設備を整えました。る設備を備えています。(A)(A)(B)(B)設置し(図14)、内部には手術室や検査機器、輸血設備を配備し、外傷専門の外科医や看護師が複数名常駐していました。この医療スタッフはG7広島サミット関連の緊急手術のためだけに待機しており、搬入されてから数分以内に手術を開始できるようにしました。ただし、FOSで行う緊急手術は止血を目的としたものが中心であり、損傷部位の再建を含めた根治的治療は、救命救急センターで行う必要がありました。このため、適切な搬送経路や搬送手段の選択が重要だったのです。G7広島サミットでは、首脳たちを含めた多くの出席者の健康と安全を守るため、このような先進的な取り組みが行われました。新型コロナウイルス・パンデミックは、私たちの生活を大きく変えました。通常の風邪のような軽い病原性のウイルスが、突然、強力な毒性を持ち始め、多くの人を死亡させることがあります。この現象は新型コロナウイルスに限ったことではなく、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)、2009年のH1N1インフルエンザ、2014年のMERS(中
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