7320表4 1救命救急センターあたりの担当面積面積(㎢)人口(名)災害拠点病院救命救急センター1救命救急センターあたりの担当面積(㎢/施設)東京都大阪府京都府広島県広島市21949061899119万1396万882万80261816841194612261万8480281万1361877691211302で個別会合も開催されました。このため、G7広島サミットの医療対応では、目の前の患者さんだけでなく、目の前にはいない患者さんに対しても、地理的・時間的な要素を考慮して医療を提供する必要がありました。つまり、平常時の救急医療だけでなく、災害医療の体制も必要だったのです。さらに、広島県は面積に対して救命救急センターが少ない地域です(表4)。このため、1つの救命救急センターが担当する範囲は、東京や大阪、京都などと比べて広くなります。つまり、首脳たちの医療を迅速に行うためには、地理的な要素を考慮することも重要でした。私はG7広島サミット医療対策本部の首脳対応班長として、「鳥の目」で広島県全体の主要病院の状況を調査し、首脳たちの現在地をリアルタイムに把握し、テロが発生した場合の最短・最速の救急搬送ルートをチェックする必要がありました。また、首脳等対応医療機関である広島大学病院の医師として、実際に搬送されてきた首脳たちの傷病者の治療を、「虫の目」で行う必要もありました。広島大学病院では普段から外傷患者の診療を行っていますが、テロによる外傷は平常時の外傷とは大きく異なる可能性があります。例えば、爆弾や化学兵器、ウイルス兵器が使用された場合、通常のケガの消毒や止血、手術だけでは十分に救命できるとは限りません。このため、職員の感染防護具の着用や患者さんの除染方法についても訓練を行いました(図13)。
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