G7広島サミットと災害医療の応用19G7広島サミットは、2023年5月に広島市で開催された主要国首脳会議です。日本、アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスの7ヵ国の首脳が集まり、経済政策や国際安全保障、環境問題、エネルギー政策など、さまざまな国際的な課題について話し合いました。また、オーストラリア、ブラジル、コモロ、クック諸島、インド、インドネシア、韓国、ベトナムなどの招待国や、国際連合、国際エネルギー機関(IEA)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)などの国際機関の代表も参加しました。このため、G7広島サミットには、7名の首脳たちだけではなく、極めて多くの首脳たちが広島に集まりました。広島の医療機関における主な任務は、以下の2つでした。①…G7広島サミットに参加している首脳等(首脳+側近)の病気やケガに対して、適切な医療を提供すること②…G7広島サミット開催中に、テロなどによる多数の傷病者が発生した場合に、適切な医療を提供すること首脳たちの多くは広島空港に着陸し、陸路で広島市内まで移動しましたが、広島空港から広島市内までは55kmも離れています。その途中には大きな救命センターがないため、移動中にテロに巻き込まれた場合、大惨事になる可能性がありました。また、サミットではグランドプリンスホテル広島だけでなく、平和記念公園や宮島などさまざまな場所でイベントや会合が開催されました。どの病院に搬送するのが最も早いか?どの搬送方法(救急車、ドクターヘリ、船)を使用するのが最も早いか?直接救命センターへ搬送するのが安全か?まず近隣の病院で応急処置をしてから救命センターへ搬送する方が安全か?など、多くのことを考慮する必要がありました。また、首脳たちは全員が一緒に行動するわけではなく、同時に複数の場所
元のページ ../index.html#23