14長引く断水も大きな問題でした。断水が続くと、住民の生活に支障をきたすだけでなく、病院では手術や透析ができなくなります。手術や透析は1日程度なら延期できても、数日から数週間となると延期できないことが多い処置です。大規模自然災害では停電や断水がしばしば発生しますが、停電は比較的早く復旧します。これは電線が空中を走行しているためですが、水道管は地下に埋まっているため、ひとたび損傷を受けると修理に時間がかかります。このため、断水は長期間に及ぶのです。これは、西日本豪雨に限ったことではなく、どのような災害でも概ね共通しています。実際、最近発生した能登半島地震でも、断水が長期間持続しました。断水した地域に水を提供するためには、水道局と協力してトラックなどで水を運ぶ必要があります。電気と異なり水はとても重量が重いので、一度に大量の水を運ぶことはできません。また、途中の道路が整っていないとトラックは走行できません。西日本豪雨で特に甚大な被害を受けた呉・尾道・三原地域は、アクセスする道路が少なかったり、片道一車線の道路が多かったりしたことも問題を複雑にしました。広島県には山間地域や島しょ部が多く、アクセスルートが限られている場所が多くあります。災害時にそのアクセスルートが損傷すると、その先のエリアは孤立してしまうため、平常時から複数のアクセスルートを整備することが重要です。さらに、広島市には川と橋が多く、大地震が発生した際にはこれらの橋が倒壊する可能性があります。そうすると、広島市の東西方向の移動が困難になるため、迂回路を検討しておく必要があります。
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