守る命つなぐ希望 災害時に役立つ基本知識と最先端技術
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13図8 EMIS    各病院の被災状況や職員の出勤状況、患者さんに行うことができる医療内容などの情報を集約化するウェブ・データベース。災害が発生したら、各病院は自施設の状況をEMISに入力します。災害対策本部はこの一覧を見て、災害医療計画を立てます。西日本豪雨災害の特徴の一つは、線状降水帯の長引く停滞によって、広範囲にわたり、次々と災害が多発したことでした。災害対策本部やDMATが一つの災害対応を終えたと思ったら、時間差で別の地域に災害が発生するということが繰り返されました。このため、災害対策本部は毎日のように災害医療計画を立て直す必要がありました。さらに、EMIS(広域災害救急医療情報システム)の入力率が低かったことも課題でした。EMISは、病院の被災状況や医療資源を調べたり、転院搬送が必要な重症患者の居場所を調べたりするためのウェブ・データベースです(図8)。西日本豪雨災害時の広島県では、このEMISの入力がほとんど行われず、災害対策本部はどの病院にどのような被害(電気・水・ガス・医療資源など)が発生しているかを把握できませんでした。広島県では、これまで大規模自然災害が少なく、多くの病院がEMISの取り扱いに慣れていなかったことが一因と考えられます。現在では、広島県が中心となり、各病院職員と共にEMISの入力方法や被害状況の調べ方を学ぶ訓練を行っています。

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