西日本豪雨災害から学ぶ教訓12図7 西日本豪雨の災害対策本部 さまざまな職種の人が災害対策本部に集まり、各自の役割に応じて分業することで、チームとして大きな力を発揮します。西日本豪雨(平成30年7月豪雨)は、2018年7月初旬に日本の西部地域で発生した記録的な大雨災害です。この豪雨は広範囲に甚大な被害をもたらし、特に広島県、岡山県、愛媛県を中心に深刻な影響を及ぼしました。死亡者は200人以上に上り、家屋の全壊・半壊は数千棟、道路や鉄道、橋の崩壊も多数発生しました。地震災害と異なり、豪雨災害は発生日がはっきりしないため、災害医療体制に移行するタイミングが難しい点があります。つまり、地震災害では、最初の大きな地震が発生した瞬間から全地域が災害医療体制に移行しやすいですが、豪雨災害ではどの瞬間から災害医療体制に移行すべきかが不明確です。災害医療体制とは、普段の医療活動をやや縮小して、その分、災害医療にエネルギーを注ぐ体制のことを指します。このため、災害医療体制へ移行することは、普段の外来患者さんや入院患者さんにある程度の負担をかけてしまうため、安易に災害医療体制へ移行はしにくいのです。しかし、災害医療体制への移行の遅れは、その分、被害を増大させるリスクを含んでいるのです(図7)。
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