知っておきたい命の危機に直結する救急疾患
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61)頭 痛 頭痛を主訴とする緊急度の高い疾患の一つに、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血があります。頭痛により医療機関を受診する患者のうちで、くも膜下出血が占める割合は比較的低く、1~3%程度ですが、くも膜下出血は早期発見、治療が非常に重要な疾患です。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血が放置された場合には、脳動脈瘤の再破裂を来す危険性が高く、再破裂すると致命的となったり、重い脳の後遺症を残します。 くも膜下出血の頭痛は、「後頭部を突然バットやハンマーで殴られたような痛み」と表現されることがよくありますが、すべてのくも膜下出血がこのような激痛を来すとは限りません。多少痛みが弱くても、突然発症で即座に痛みがピークに達する場合やしばらくして吐き気が生じる場合などは要注意です。突然発症とは、午前中からとか外出から帰宅したあたりからとかいう曖昧なものではなく、食事をとり始めた時、トイレで排便をした時、外出から帰宅して玄関に入った時など、頭痛の発生が極めて具体的な時間として表現できる場合を意味します。症例 40歳代、男性 仕事の休憩時間中に、突然、後頭部に強い頭痛が生じて、吐き気も出現してきた。意識は清明で、まひはなく、救急車にて来院。CTを撮影したところ、くも膜下出血があり、脳血管撮影を行うと動脈身近な症状からみた緊急度の高い疾患身近な症状からみた緊急度の高い疾患身近な症状からみた緊急度の高い疾患身近な症状からみた緊急度の高い疾患222

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