31)用語の定義 緊急度とは、「ある時間内に適切な治療を行うことで、生命や臓器、身体部位の障害や損傷の危機を回避、または減少できる時間的な余裕の程度」、重症度とは「治療によって得られる生命や機能の予後の程度」といわれています。言い換えると、緊急度が高い状態とは、短時間で死亡に至る可能性が高く、一刻を争って適切な処置を必要とする状態であり、重症度が高い状態とは、時間的な余裕の有無は別にして、死亡する可能性が高い、意識の回復が見込めない、半身のまひが残る、片足を切断しなければならないなどを意味します。2)緊急度が高い場合 緊急度が高い場合には重症度も高いことが多いのですが、緊急度が高い場合でも、速やかに適切な処置を行えば、その効果で重症度が低くなる疾患も存在します。緊急度が高い例として、餅を喉に詰めた場合などの気道異物は、すぐに異物を除去できれば、後遺症を残すことなく、元通りの元気な状態となります。しかし、処置が遅れて異物が取れなかった場合には死亡したり、低酸素による脳の後遺症が残ったりします。薬や食物アレルギーで重度のアナフィラキシーショックが生じた場合も、自己注射薬(処方されている場合)の使用や医療機関での処置が速やかに行われれば、ショック状態からの改善が見込まれますが、対応が遅い場合には、死亡に至ることも多くあります。緊急度と重症度緊急度と重症度緊急度と重症度111
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