知っておきたい命の危機に直結する救急疾患
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2 皆さんは、救急疾患には緊急度という概念があるのをご存じでしょうか。ニュースや医療系のテレビ番組で、重症や軽症という用語はよく使われていますが、医療の現場で使われている緊急度と重症度という用語は、少し日常のものとは異なった意味を持っています。救急医療の現場では、救急隊員や医療者はいつも緊急度を評価しながら患者の診療にあたっており、これによって対応のスピードや順序が変わってきます。実は皆さんが救急車を呼ぶタイミングにも、この緊急度という考え方が関係しており、救急医である私は「もう少し早く救急車を呼んでいれば良かったのに」と感じることがあります。救急車を呼ぶ必要がない場合というのは、ケース・バイ・ケースで一概には言えませんが、患者さんの状態で緊急度が高い場合には迷うことなく救急車を手配すべきであるということが言えます。緊急度が高い疾患は生命の危機に直結するためです。 ここでは、緊急度と重症度の考え方について解説した後、緊急度の高い身近な救急疾患について解説します。令和5年9月9日国立病院機構 呉医療センター救命救急センター岩 崎  泰 昌はじめに

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