25 広島県の令和4年度消防防災統計によると、広島県内における令和3年の救急車の出動件数は合計で128,982件であり、平均すると県内のどこかで約4分に1回の割合で救急車が出動していることになります。また、広島県内で令和3年に救急車により医療機関等へ搬送された患者数は113,276人であり、同じ人が2回以上救急車にて搬送されていないと仮定すると、1年間で県民の約25人に一人が救急車を利用(転院搬送等を含む)したことになります。確かに、救急車の出動件数や搬送人員だけをみると、かなり多い印象を受け、近年、「救急車の適正利用」が推進されています。しかし、私の印象では一部を除いて、大部分の患者さんは適正に利用されていると思います。むしろ、この冊子に記載したような緊急度が高い疾患やすべての疾患において緊急度が高いと思われる場合には、速やかに救急車を呼ぶことが重要です。確かに、現実には早期に医療行為を行っても助からないこともあります。しかし、救急医療の現場に携わる者にとっては、「もう少し早く病院に到着していれば命が助かっていたのに…、重い後遺症を残さなかったのに…」と思われる症例に遭遇すると、残念であり、悔しい思いを感じます。必要に応じてすぐに救急車を呼ぶことも「救急車の適正利用」であり、この冊子がその判断に少しでも参考になることを願っております。令和5年9月9日国立病院機構 呉医療センター救命救急センター岩 崎 泰 昌おわりに
元のページ ../index.html#28