17 … 「屋外での運動・労働型」は炎天下の屋外で長時間にわたり、運動や労働をしていると、最初は汗をかくことにより体温の調節が可能ですが、暑さが激しすぎると、体内への熱の蓄積が放散を上回るようになります。こうなると、脱水や自律神経の破綻のために発汗が停止して、急激に体温が上昇して、意識障害をはじめとしたさまざまな臓器障害が短時間で生じます。 … 一方、高齢者に多い「屋内での脱水蓄積型」は、夏場にエアコンなどをかけずに室温の高い多湿な環境下に長時間(数日)いた場合で、特に水分の補給が十分でなければ、しだいに脱水傾向となります。脱水が進行すると、さらに発汗もできにくくなり、体温の調節機能が働かなくなるため熱中症となります。高齢者の場合、臓器の予備力の低下や基礎疾患があることが多く、腎不全を併発していることもしばしばあり、緊急度は低くても重症度が高い場合もあります。 ③症状と対応 … 「屋外での運動・労働型」の場合には、初期にはめまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉のこむらがえりなどが認められ、重症化すると発汗の停止、高体温、集中力の低下や意識障害、嘔吐が認められます。自分でペットボトルなどを持って飲み物が飲めない場合や呼びかけに対する反応が悪い場合には、ためらわずにすぐに救急車を呼びましょう。 … 高齢者に多い「屋内での脱水蓄積型」は、徐々に生じることが多く、予防や早期発見が重要です。室内の環境温度をエアコンなどで調節し、口渇を感じなくても定期的に水分を取るよう
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