52 2019年(令和元年)暮れに中国で発生した新型コロナウイルス感染症は瞬く間に世界中に拡大し、スペイン風邪以来、最大のパンデミックとなり、現在までに5億1,600万人が感染し、625万人が死亡しました。日本でも延べ7,983,508人が感染し、29,718人が亡くなりました(2022年5月6日時点)。 接種が開始された新型コロナウイルスワクチン接種推進を願って、昨年9月の救急の日に、本小冊子初版が出版されました。その後、国、自治体、医療界が全力で取り組み、ワクチン接種は1日100万回以上という驚異的なスピードで進み、全ての国民の80%に2回接種を完了できました。これにより、昨年末には新型コロナウイルス感染症の新規陽性者はほぼ0になるまでに押さえ込むことができました。しかし、その後、変異型であるオミクロン株による猛烈な感染拡大で、今年初めからの第6波では最大で1日10万人を超える新規感染となりました。 ワクチンは有効ですが、時間とともにその効力は低下し、変異株には効果が低下することが分かっています。ただ、追加接種(3回目)によって再びウイルスへの効果が復活し、特に重症化を著しく抑制することができることも実感しています。とはいえ、重症化の少ない若い人たちが、発熱や倦怠感といったワクチンの副反応を嫌って、追加接種が進んでいないことも事実です。 昨年の発刊以降、使えるワクチンの種類も増え、子どもへの接種や、3回目以降の追加接種も実施されています。こうした新しい多くの事項をお伝えするため、第2版の刊行が計画されました。初版でも申し上げたように、本小冊子をきっかけとして新型コロナウイルス感染症とワクチンについて正しい理解が進み、ワクチン接種が進むことを願っております。広島県医師会常任理事(広島市民病院 救命救急センター)西 野 繁 樹令和4年5月おわりに
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