43【最新の変異株:オミクロン株について】 新型コロナウイルスには変異が多いことが知られていますが、現在の感染第6波の主流はオミクロン株と言われる変異株で、2021年11月に南アフリカから最初の報告がなされてから、現在までに日本を含めて全世界195ヵ国で感染者が確認されています。オミクロン株はさらに細かい亜型に分類され、最初はBA.1、現在はBA.2と呼ばれる型に入れ替わってきています。 オミクロン株はそれまでの主流だったデルタ株(昨年(2021年)夏から秋に流行し第5波)から今年(2022年)になって急速に入れ替わっています。デルタ株に比べて、感染力は非常に強いが、重症化リスクは低いというのがその特徴です。今年(2022年)1月からの第6波では過去最大の感染者数で、広島においても2月には療養者数が2万人を超えました。現在感染者数自体は減少傾向ですが、まだ数百人以上の新規陽性者が発生しています。オミクロン株は、従来株に比べて、潜伏期間が短く、BA.2系統では倍加時間(患者数が倍になるのに要する時間)も短いと言われています。 ワクチン2回接種による発症予防効果はデルタ株と比較するとBA.1系統では低下しますが、3回目のワクチン接種(ブースター接種)でBA.1系統による感染でも発症予防効果を高めることができます。重症化予防効果(入院ならびに死亡予防効果)に関してはBA.1系統でも保たれると報告されていますので、ワクチン接種特に追加接種は有効であるとして推奨されています。 オミクロン株では中和抗体薬の効果が弱まることも報告されています。中和抗体薬は、現在ロナプリーブ®(カシリビマブ・イムデビマブ)とゼビュディ®(ソトロビマブ)の2種類があり、BA.1系統ではロナプリーブ®の効果は著しく低下しますが、ゼビュディには一定の効果が保たれます。しかし、BA.2系統ではゼビュディも効果は低くなり推奨されなくなりました。 広島県での今年(2022年)1月のCOVID-19での重症入院患者の検討では、重症例9例は全例基礎疾患など重症化リスクを有しており、重症肺炎となった3例は全員がワクチン未接種だったと報告されています。これらの結果からも、オミクロン株に対してもワクチン接種の有効性が示されています。
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