ワクチン接種“守り”から“攻め”への転換 副反応をよく理解してワクチン接種へGO! ~新型コロナウイルスに負けないぞ!~ 第2版
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32新型コロナウイルスワクチン【新型コロナウイルスの構造と増殖】 ウイルスは自分自身では増殖することはできず、必ず宿主と呼ばれる生物の細胞にとりついて、宿主細胞の力を借りて複製、増殖をします。 新型コロナウイルスは、その形状の特徴でもある、ウイルス表面のトゲトゲ構造、スパイクタンパク質(S)で宿主細胞の表面にあるACE2(アンギオテンシン変換酵素2)という部位に吸着します。 スパイクタンパク質でACE2に吸着した後、ウイルスのエンベロープという殻が宿主細胞膜に溶け込むように融合し、エンベロープに包まれていたウイルスの中身=ゲノムRNAが宿主細胞の装置(リボソーム)を利用して必要なタンパク質の合成(翻訳)が開始されます。 タンパク質の合成とともに、ウイルスゲノムRNAの複製が行われます。 こうして宿主細胞内で作られたゲノムRNA、タンパク質などが小胞体という装置内で組み立てられて、複製されたウイルスが完成し、細胞外に放出されることでウイルスの増殖が進みます。 こうしたウイルスの吸着から複製、放出の各過程を邪魔するような薬が「新型コロナウイルス治療薬」の候補として現在研究が進んでいます。 今回の新型コロナウイルスワクチンはこのウイルスの特定のタンパク質の設計図部分をmRNAとして合成し、特殊な方法でこれを体内に投与し、人の細胞でこのmRNAをもとにウイルスタンパク質を合成する仕組みです。

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