16卵巣腫瘍の30~40%を占める一般的な卵巣腫瘍です。脂肪、髪の毛、歯、脳組織などが含まれているのが特徴の腫瘍です。非常にまれですが、成熟奇形腫が意識障害の原因となることが知られています。成熟奇形腫と関係が深い脳炎(抗NMDA受容体脳炎)の存在が知られてきており、意識障害、不随運動などの症状により、神経内科などから紹介となることが多いようです。必ずしも成熟奇形腫と合併していないこともありますが、合併している場合は、一般に手術となり、脳炎の症状の改善も期待できます。また、通常の卵巣嚢腫と同様に、捻転を起こせば腹痛の原因となります。他の特徴としては、成熟奇形腫に含まれる内容液は化学性腹膜炎を引き起こすことが知られており、その癒着が高度であれば腸閉塞を起こすこともあります。内容液を漏らさないように注意をして手術を行う必要があります。 ❽ 成熟奇形腫
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