知っておきたい産婦人科の救急
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13排卵期に起こる卵胞出血と黄体期に起こる黄体出血の2種類の卵巣出血があります。大量の腹腔内出血を引き起こすのは、黄体期の卵巣出血です。性交渉も出血の誘因の1つと考えられています。突然の下腹部痛と腹腔内出血により貧血となります。卵巣出血と診断されても、かならずしも手術による止血が必要ではありません。大量の腹腔内出血があっても、自然止血することも多いので、安静、輸液などで経過観察が可能なこともあります。出血量、全身状態、他の出血の可能性など総合的な判断により、手術となることもあります。 卵巣腫瘍が自然に破れることがときにあり、ひどい下腹部痛を引き起こします。卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート状の古い月経血が溜まった嚢腫であり、内容液の性状からチョコレート嚢胞と呼ばれます)が破裂すると、腹腔内に内容液が漏れて強い痛みを起こします。痛みが強いので緊急手術となります。 ❸ 卵巣出血 ❹ 卵巣腫瘍の破裂(チョコレート嚢胞破裂)

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