知っておきたい心臓病の救急
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232 治 療… この病気の本質は、肺動脈が血栓によってふさがることですから、治療のポイントは詰まった血栓を取り除くことになります。治療法の選択は主に病気の重症度によって決定されます。主な治療法を紹介します。①…抗凝固療法・血栓溶解療法:肺に飛んできた血栓を薬によって溶かす治療法です。抗凝固療法とは、血を固まりにくくする治療法のことで、ヘパリンやワーファリンといった薬により血の塊が自然に溶けるのを待つ治療です。血栓溶解療法とは、既にできている血の塊を積極的に溶かす治療法です。組織プラスミノーゲン・アクチベーター(t-PA)などが使用されます。後までに足の血管から血の塊が確認された人が200人近く見つかっています。熊本地震でも50人近くがエコノミークラス症候群で入院となり、うち1人は死亡しています。避難所では、1週間~2週間後の発症が最も多いとされています。避難生活によるストレスや冷たい床で過ごすことで血管が細くなる事等も一因と考えられています。その他の発症リスクのある対象者として、高齢者、外科手術後の長期安静で寝たきりの方、周産期の女性などが知られています。… 症状としては、呼吸困難、胸痛、冷汗、動悸、失神、咳嗽などが挙げられますが、肺に飛んできた血の塊の大きさや、詰まった血管の大きさにより重症度はさまざまです。大きな血栓が肺の根元の血管がふさぐと心肺停止となる可能性もある病気です。②…カテーテル治療、肺動脈血栓摘除術:極めて重篤な状態に対しては、積極的に血栓を取り除く治療が選択されます。血管内にカテーテルと呼ばれる管を挿入して血栓を吸引したり砕いたりするカテーテル治療と、開胸して肺動脈から直接血栓を取り除く肺動脈血栓摘除術があります。

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