知っておきたい心臓病の救急
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大動脈解離21図3図4人工血管2 治 療… 上行大動脈や弓部大動脈に解離腔がある場合には、緊急手術を検討します。解離を起こした部位を人工血管に置きかえる手術です(図3)。大動脈の壁は“割れていて”薄くなっているため、出血しやすい状態になっています。さらに心臓にも負担がかかった状態であれば手術はさらに難しくなります。ときに解離腔内に入り込んだ血液が固まり解離腔がうまく固まっていくケースもあります(血栓閉塞型解離)。解離が下行大動脈に限られている場合には、安静にして厳重な血圧管理を行うことにより壁の状態が固まり安定してくることもあります。大動脈解離や動脈瘤に対する緊急手術は体への負担が大きいため、最近では大動脈の内側に、割れた壁を補強するための筒を足の付け根から入れる手術(ステントグラフト内挿術)が試みられています(図4)。退院した後には再発予防が大変重要となります。多くのケースでは高血圧が大動脈解離や大動脈瘤発症の大きな要因になっています。内服治療(血圧治療薬)を中心として、減塩、禁煙、ストレスや過労の回避など生活習慣をみなおしていくことも大切です。

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