11図2は酸素不足となっているため、酸素吸入をはじめます。また心筋梗塞のときには冠動脈の内ないくう腔(血管壁の内側)が狭くなったところに血栓が付着しているためにアスピリンなどの抗血小板薬(いわゆるサラサラ薬)が必須で、さらに冠動脈の拡張、血流改善を目的にニトログリセリンを点滴します。しかし、これらの治療だけでは十分な血流再開は期待できません。心筋梗塞で最も重要な治療は、ふさがった冠動脈を再び開通させる“再さいかんりゅうりょうほう潅流療法”であり、この治療により心筋梗塞の拡大をおさえることが可能となります。一刻もはやく再開通させることが治療の要点であり、発症後6時間までに再開通させることができれば心筋梗塞の拡大をおさえられることが確認されています。結果的に小さい心筋梗塞で抑えることができれば、その後の経過が順調となります。そのためには、もし急性心筋梗塞が起きたら、“直ちに救急車で病院に行くこと”が非常に重要なのです。… 次に再潅流療法についてお話します。病院に到着したら、速やかに冠動脈のどこがふさがっているのかを確かめるために特別な手術室で検査を行います。足の付け根、肘あるいは手首の動脈から直径2~3mm程度の管(カテーテル)を挿入し、心臓付近まで進めて冠動脈の写真を撮影します(図2)。この検査によりどこの冠動脈がふさがったのか、ほかに狭いところがないかが判ります。次に先端に風船(バルーン)のついたカテーテルを使ってふさがった部分を拡張させます。バルーン治療によりいったん流れはよくなりますが、十分な拡張が得られなかったり、拡張してもすぐにふさがったりすることがありま
元のページ ../index.html#14