91 病気について… 心臓は1日に約10万回拍動し、全身の臓器へ血液を送り出すポンプの役目を担っています。すべての臓器は心臓から供給される血液に含まれる酸素や栄養分をもとにそれぞれの役割を果たしていますが、心臓自体も例外ではありません。心臓の表面には心臓自体にエネルギーを与えるために、3本の…“冠動脈”が流れています。この冠動脈を通じて心臓に血液が供給され心臓は動いているのです。人は年を重ねるとともに、この冠動脈の壁に不要なコレステロール(脂質)がたまり、血管が硬くなっていきます。いわば血管の老化現象であり、これを動脈硬化と呼びますが、それが年相応であるのか、同年齢の方と比べて進行しているのかが問題です。この動脈硬化の加速は、いくつかの因子が関わって起こることが知られており、これらを危険因子と呼びます。この危険因子とは、高コレステロール血症であり、高血圧であり、糖尿病であり、喫煙です。危険因子が重複すると動脈硬化は加速度的に進行してしまいます。動脈硬化が進み血管内ないくう腔(血管壁の内側)がおよそ75%を超えて狭くなると、心臓を動かすための血液供給が不十分となります。これは“心筋虚血”の準備状態です。心臓の負担が増える状態、たとえば、坂道を登る、重たいものを抱える、怒りで興奮する、急に寒冷にさらされる、などの行動によって“心筋虚血”が現れます。これらは急激な血圧上昇や脈拍上昇をきたす動作であり、心筋虚血を起こします。心筋虚血の状態となると、心臓が発するSOS信号として胸の中央で圧迫感を感じるようになります。これが“狭心症”と呼ばれる病気です(図1)。狭心症の段階では、安静にし、血圧や脈拍が落ちついてくると、胸部圧迫感は長くても15分以内で消失してしまいます。冠動脈の内腔が更に
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