162)症 状 … 眼部腫脹、眼球運動時痛、眼球運動障害、頬部の知覚異常、場合によっては複視(ものが二重に見える)、視力低下などがあります。20歳以下の若年者の場合は打撲直後からの吐き気、強い眼球運動時痛を伴うこともあります。3)対応・治療 … 成人の場合には緊急手術が必要となることはあまりなく、数日以内の受診で問題ないことが多いと言えますが、未成年者の場合で著明な眼球運動時痛や吐き気を伴うときは早急な治療が必要です。若年者は骨自体が柔らかいために眼窩壁の骨折は不完全で、骨折部に眼球付属組織が挟まれたままとなることがしばしばあります。この場合は吐き気と強い眼球運動時痛を伴います。これは「閉鎖型眼窩骨折」と言われ、挟まれた組織の程度次第で高度な眼球運動障害、複視をきたし、時間の経過とともに挟まれた組織には虚血による障害が進行してしまうため、手術時期が遅れると眼球運動障害が後遺症として強く残ることがあります。挟まれた状態は自然に解除されることはありませんのでCT検査(図7)で診断がついたら緊急手術治療が必要です。特に注意したいのが小児例で、顔面打撲後に吐き気があると頭蓋【成人と若年者の違い】
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