Ⅲ1.薬物乱用の定義 <薬物乱用>とは、薬物を医学的常識、法規制あるいは社会的習慣に反した目的あるいは用法のもとに過剰に摂取する行為をいいます。より具体的には、医薬品を医療目的から逸脱した用量・用法や目的のもとに使用すること、あるいは有機溶剤・大麻のように医療目的のない薬物を不正に使用することをいいます。法律で規制されているシンナー・覚せい剤・大麻などの不正な使用は、たとえ一回の使用でも、「乱用」に当たります。44図表3.薬物乱用・依存の三要因HOST(ヒト)(ヒト)AGENT(薬物)ENVIRONMENT(家族・仲間・環境)なのです。従って、乱用・依存による身体障害・精神障害、その他種々の社会的問題を経験しても、止められないのがこれらの依存性薬物であり、依存者の平均寿命は短いです。中には一生薬物にとらわれた人生を送るヒトだって居るので、私はそういう人のことを≪薬物乱用人生≫と呼んでおります。 「要するに、薬物の乱用によって若い皆さんの「自由」と、人間らしい「尊厳」、家族・仲間からの「信頼」、そして若者の本来持っている輝かしい「未来」までもが、奪われることにつながるのです。薬物乱用は必ず自分の手を通りますので、『ノー』といって断るか、『イエス』といって手を出すかで、将来が決まってしまうのですよ。」と実例を示しながら語りかけるのです。2.薬物乱用の三要因(図表3) 一般的にいって薬物の乱用・依存は、依存性を有するAgent要因としての<薬物>と、薬物を使用するHost要因としての<ヒト>と、薬物の使用を取り巻くEnvironment要因としての<家族・仲間・環境>とが合わさったとこ薬物乱用の成り立ち
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