Ⅲ1.薬物依存の形成過程(図表3) 薬物を初めて使用して、なんの効果もなかったり、かえって激しい頭痛などの苦痛を伴う副作用を強く経験すると、普通はその薬物をさらに使用したいとは思わないものです。ところが、薬物を使用して、身体の芯からうずくような「快体験」や、これまで感じたこともない満足感をもたらしたり(正の強化効果)、これまで悩みに思っていた不安や苦痛からすっと解放してくれたり(負の強化効果)、あるいは現実世界からトリップして、幻覚の世界へと精神を展開させてくれるというような経験を持つと、ヒトはその薬物をまた28図表3.薬物依存の形成過程薬物依存の形成過程(2)れていたからです。 ところが一昨年から、過去に大麻を中心とするLSD・コカイン・MDMAなど多剤乱用傾向のある人たちが主体ですが、所持・使用しても逮捕されない≪いわゆる脱法ドラッグ(違法ドラッグ)≫の大流行が見られたのです。なお、しばらくは違法ドラッグの流行は後を引くと思われますが、筆者は平成24年末に実施された≪包括指定による規制の強化≫が浸透していって、将来的にはやはり、大麻乱用が復活していくだろうと予想しております。現在は、別にもう一つ、医療機関で処方される睡眠薬・安定剤などの≪向精神薬の乱用・依存≫が大きな問題になると考えられます。薬物依存への理解を一層深めるために
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