このような「常同行動」が発現すると、幻覚・妄想状態も直に発現してしまうのです。自分の行動が監視されていると言って隠しカメラを探したり、盗聴されていると言っては電波探知機で盗聴器を探そうとしたり、付き合っている女性が浮気をしていると言って、常同行動によるものすごく酷い折檻をしたりするようになるのです。ですから、薬効時にこのような「常同行動」が認められるようになったときには、<覚せい剤精神病の前駆状態>とみなすことができます。23(写真1)(暴力団が自分に多額の保険金を掛けて,大勢で自分を殺しに来ている)(暴力団が自分に多額の保険金を掛けて,大勢で自分を殺しに来ている)(写真3)図表25.覚せい剤精神病の幻覚・妄想状態図表26.覚せい剤精神病の幻覚・妄想状態(写真2)(包囲襲来状況)(包囲襲来状況) 5月の連休前にたまたま、まとまった量の覚せい剤を手に入れて、日に5回以上強迫的に覚せい剤を注射して、その結果、≪包囲襲来状況≫というのですが、切迫した幻覚妄想状態になって、警察官数人によって保護されて入院してきたのです。≪借金が溜まっているので、暴力団が自分に多額の保険金を掛けて、殺し屋を頼んで大勢で家の周囲を取囲んで、ザワザワしている≫という非常に切迫した幻覚妄想状態です。自分がトイレの方に行こうとすると、軒先から「今そっ覚せい剤を入れれば、ケロリとして、「常同行動」に熱中します。3)急性覚せい剤精神病にみられる幻覚妄想状態の例~包囲襲来状況~ これから示す一連の写真(図表25、26)は、患者の保護に立ち会ったお巡りさんから状況説明のために提供されたものです。
元のページ ../index.html#26