知っておきたい薬物の乱用・依存に関する基礎知識
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乱用乱用(Abuse):薬物を社会的許容から逸脱した目的や方法で自己使用すること依存依存(Dependence):自己コントロールができず,止められない状態(乱用の繰り返しの結果)(耐性)断断薬薬退薬症状(離脱症状)慢性中毒慢性中毒(ChronicIntoxication):依存にもとづく乱用の繰り返しの結果慢性中毒慢性中毒(Chronic Intoxication)依存にもとく乱用の繰り返しの結果アルコール精神病・有機溶剤精神病・大麻精神病・覚せい剤精神病・身体症状図表6.薬物乱用-薬物依存-薬物中毒の関係(和田清を参照)薬物乱用者には,①乱用だけの乱用者,②依存が問題で,未だ慢性中毒のない乱用者,③慢性中毒にまで至った乱用者の三種類がある。他に乱用・依存の治まった④後遺症がある。急性中毒急性中毒(Acute Intoxication):乱用の結果急性アルコール中毒・有機溶剤中毒・覚せい剤中毒・身体症状乱用の繰り返し乱用の繰り返し渇望薬物探索行動渇望渇望(耐性)7身体依存身体依存身体依存身体依存精神依存精神依存精神依存精神依存ておきましょう。 「乱用」は薬物を社会的許容から逸脱した目的や方法で自己使用する行為を表しております。「急性中毒」は薬物乱用の結果、薬物の毒性によって直接引き起こされた緊急な治療を要する身体および精神の状態で、生命を落とす危険もあります。 「依存」は乱用を繰り返した結果、脳が変化を受けて「自己コントロール」ができず、止められない状態をいいます。依存には、<精神依存>と<身体依存>があります。タバコを切らすと、イライラして集中力を欠いてくるので、れっきとした紳士でも、友人からもらったり、灰皿からしけもくでも拾って吸ったりするのは<精神依存>の表れです。アルコール依存症ではアルコールが切れてくると、手が震えたり吐き気がしたり、けいれん発作を起こしたり、夜間眠らずに嫌な夢を多く見て、ひどいときには寝汗をびっしょりとかき、<せん妄状態>という意識レベルの低下状態に陥り、幻覚にもとづいてトンチンカンな言動を呈することもあります。これは<身体依存>の表れです。このように中枢神経系の抑制薬では、連続的な使用を中断すると、使用している薬物特有の<禁断症状(離脱症状)>が発現するため、自ら依存から脱却することは難しくなります。しかし、薬物依存の基本は精神依存であり、コカインやアンフェタミンでは身体依存はないと言われていますが、依存性は高いのです。 更に「慢性中毒」は依存にもとづく乱用の繰り返しの結果、薬物が持っている毒性によって、直接身体が障害されたり、精神が障害された状態を言います。 従って、薬物乱用者には、①乱用だけの乱用者、②依存が問題で、未だ慢性中毒のない乱用者、③慢性中毒にまで至った乱用者の三種類があります。他に④後遺症で悩んでいる元乱用者がいるのです。

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