知っておきたいアナフィラキシーの正しい知識
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489予防 アナフィラキシーには予防が第一です。食べ物によるアナフィラキシーの予防には、原因となるアレルゲンの摂取を回避すること(アレルゲンを除去した食べ物の摂取)が重要です。そのためには原因となる食品を確認しておく必要があります。 まず、食べ物との関連については詳細な情報収集が原因アレルゲンを推定する鍵となります。次に、皮膚テスト(プリックテスト、スクラッチテスト、パッチテストなど)や血液検査(特異的IgE抗体、好塩基球ヒスタミン遊離試験)によって原因と推定される食べ物に対するIgE抗体の証明を行います。そして、アレルゲンと推定される食べ物の経口負荷試験や除去試験によってアレルゲンが確定されます。一方で、食べ物アレルギーを発症しやすいのは成長期の乳幼児であり、栄養面を考慮した必要最小限の食品除去が求められます。加熱してアレルゲンの作用を弱めたり(卵など)、アレルゲンの成分を分解もしくは除去した低アレルゲン食品(牛乳アレルゲン除去調整粉乳など)を利用します。また、代替となる食品を摂取することにより栄養のバランスをとることも大事です。なお、成長に伴う消化管機能の発達等により、卵や乳製品、小麦等に対するアレルギー体質を克服(耐性化)できる可能性があり、このような場合には専門医の指導に基づいてアレルゲン除去食の解除を検討します。ただし、ピーナッツやそば、甲殻類、魚類等は耐性化しにくいことが知られています。 なお、注意すべき点としては、アレルギー物質の食品表示が特定原材料の7品目(表示の義務化)とそれに準ずる18品目(表示の推奨)に限られているということです。また、対象範囲は、容器包装された加工食品及び添加物であり、店頭で量り売りの加工食品など容器包装されていない商品や、容器包装の面積が30センチ平方メートル以下のものについては表示義務がありません。さらに、特定原材料等の総タンパク量が加工食品1gあるいは1mlあたり数μgに満たない場合は表示されません。つまり、これらの材料の表示は一定濃度以下では記載されないため、注意が必要です。 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの対策としては、原因となる食べ物を避けることに加えて、食後3時間以内の運動を制限することがあげられます。 ハチによる虫さされを防ぐためにはまずハチの巣に近づかないことが原則です。スズメバチの巣には見張りのハチが周囲を警戒しており、近づいた場合には威嚇のために相手の周りを飛び回り、“ブンブン”という大きな羽音の他に、顎を噛み合わせて“カチカチ”という威嚇音を出します。さらに巣に近づいたり、急に向きを変えるなどして体を動かすと一斉に攻撃を始めます。もしスズメバチ類の巣に遭遇し、警戒のハチが近寄ってきた場合には、姿勢を低くし

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