345アナフィラキシーの原因 症状の出現時間は原因となる抗原へ曝露される様式によって異なります。ハチに刺された場合は5〜10分以内に症状が出現します。一方、食べ物の場合は消化管で消化、吸収される時間があるため食後30分〜1時間くらいかかり、2時間以内に出現することが多いとされています。また、治療を受けるなど初期症状が改善した後に再度アナフィラキシーの症状が出現することがあります。これは二相性反応といわれ、1〜20%の頻度で出現します。多くは8時間以内に発症しますが、中には72時間後に発症したという報告もあり1)、初期症状が改善した後も十分注意が必要です。 アナフィラキシーを引き起こす原因には、食べ物(卵、小麦、そば、ピーナッツ、エビなど)の摂取、虫さされ(昆虫刺咬症という。ハチ、アリ、ムカデなどが多い)、薬物(抗生物質、解熱鎮痛薬、造影剤など)、ラテックス(天然ゴム手袋など)があげられます。その他に、運動や寒冷、日光といった刺激によってもアナフィラキシーを生じることがあります。 食物アレルギーを引き起こすことが明らかな食品として、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ、えび、かにがあげられ、この7品目は食品衛生法において特定原材料として食品表示が義務づけられています。また、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナの18品目についても、原材料として含まれる場合は可能な限り表示することが推奨されています。一般に食物アレルギーは乳幼児で発症することが多く、その後、年齢とともに減少していきます。食物アレルギーの特殊型として、原因食物摂取後に運動などの二次的要因が加わりアナフィラキシー症状をきたす食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病態があります。小麦が原因となる場合が多く、運動により多量の抗原が吸(1)食品
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