写真1. アナフィラキシーにおいて全身に広がった紅斑アナフィラキシーとはアナフィラキシーの症状 生体の中に抗原(アレルゲンと呼ぶ)が侵入すると、生体はその抗原に対して特異的な抗体(IgE抗体等)を産生し、再び同一の抗原が体内に入ると抗原抗体反応が起こり、それを除去しようとします。この抗原抗体反応は生体の防御反応の一種ですが、ときに生体にとって極めて有害な反応を引き起こします。この反応は防御反応(phylaxis)と反対の状態を意味する“ana”をつけてアナフィラキシー(anaphylaxis)と呼ばれています。また、アナフィラキシーのうち、血圧が下がってショック状態に陥ったものをアナフィラキシーショックといいます。 アナフィラキシーの典型的な症状としてはじんま疹、紅斑、呼吸困難、めまい、腹痛、下痢、意識障害などがあげられます。皮膚症状はアナフィラキシーの最初の症状であることが多く、8〜9割に生じるといわれています。 アナフィラキシーで恐ろしいのは、喉頭浮腫による気道閉塞(喉の奥の空気の通り道が塞がれること)、不整脈やショックであり、死に至ることがあることです。喉頭浮腫は嗄声(しゃがれ声)、発声困難(うまく声が出せない)、喉の異物感(喉に何か詰まっているような感じ)などの症状から始まり、不整脈やショックの症状としては動悸やめまい、気の遠くなる感じなどの症状がみられます。しかし、重症で経過の早い場合は皮膚症状や呼吸器症状を伴わずショックに陥ることもあります。また、初めてのアナフィラキシーであったり、誘因が明らかではない場合にアナフィラキシーと判断することは難しい場合があります。特に、幼児の場合は初発であることが多い上に自覚症状を伝えることが難しく、アナフィラキシーの診断が困難となるとされています。12 23
元のページ ../index.html#4