知っておきたいアナフィラキシーの正しい知識
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1819図4. エピペン®注射部位救急隊、医療機関での治療 エピペン®には0.3mg製剤と0.15mg製剤の2種類があります。アドレナリン投与量は0.01mg/kgが推奨投与量であり、通常、成人には0.3mg製剤を使用し、小児には体重に応じて0.15mg製剤又は0.3mg製剤を使用します。また、1管中2mLの薬液が封入されていますが、投与されるのは約0.3mLであり、注射後にも約1.7mLの薬液が注射器内に残るように設計されていますので、残量をみて投与しなかったと誤解しないよう注意が必要です。一度注射すると、再度注射しても薬液が放出しない仕組みとなっており、残液があっても二度注射することはできません。注射部位は、大腿部(太もも)の前外側から注射し(図4)、緊急時には衣服の上からでも注射可能です。エピペン®投与のタイミングは、初期症状が発現し、ショック症状が発現する前の時点、もしくは過去にアナフィラキシーを起こしたアレルゲンを誤って摂取し、明らかな異常症状を感じた時点、とされています。 なお、エピペン®は、アナフィラキシーを発現した患者が直ちに医療機関を受けることができない状況下で症状が進行した場合に、緊急避難として使用する薬であり、決して医療機関での治療に代わり得るものではありません。そのため、エピペン®使用後に症状が回復したとしても必ず医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。 学校においては、教職員は児童・生徒のアレルギー歴や医師処方薬を把握しておく必要があり、医師が処方する薬の中には、アドレナリン自己注射製剤が含まれることを知っておくべきです。医師が記載した指示書(投与のタイミング、注意点、副作用など)や保管(自己管理あるいは保健室での管理など)について確認しておくことが求められます。また、児童・生徒自身がアドレナリン自己注射製剤を携帯する場合は、他の児童・生徒が誤って使用し怪我や副作用が生じることのないように注意しましょう。 救急隊が現場に到着すると、患者の初期評価(意識はあるか、喉の腫れや吐物で喉がつまっていないか、呼吸困難はないか、ショックを来していないか)を行い、全身の観察後に救急車内に収容します。呼吸状態が悪い場合やショック状態であった場合には酸素投与を開始します。また、必要に応じて下肢挙上を開始あるいは継続します。もし、患者にエピペン®が処方されているにも関わらず状態が悪く自ら注射できない場合には、救急救命士は患者の代わりに投与することができます。アナフィラキシーかどうか救急救命士が判断を迷う場合には、医師に判断を仰ぐこともあります。エピペン®を処方されている場合には、必ず救急隊員に伝えてください。 医療機関においても、アナフィラキシーに対し最優先されるべき8

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