知っておきたい放射線の正しい知識
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精巣皮膚卵巣皮膚精巣影響の出現する身体的影響晩発影響遺伝的影響不妊一時的脱毛不妊初期紅斑一時的精子数減少影響の発症する時期に着目急性影響個体に着目ミリシーベルト10,0009,0008,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,000500200150mSv12白内障発がん生殖細胞での突然変異影響の発生と被ばく線量に着目(8シーベルト<)(3〜10シーベルト)確定的影響確率的影響中枢神経死下痢頭痛、発熱悪心、嘔吐リンパ球数減少腸管死骨髄死 13(3)放射線の身体的影響①放射線の急性影響 急性影響とは、放射線を浴びた直後から数ヶ月の間に現れてくる身体への影響です。活発に分裂している細胞ほど放射線感受性が高く、感受性が高い造血器、皮膚、消化管などの組織で、顕著な放射線による影響があらわれます。  全身被ばくをした場合、0.5シーベルトくらいから放射線感受性の高い造血細胞で影響があらわれ始め、白血球が減少します。1シーベルト以上の放射線を浴びると、一部の人に悪心、嘔吐、全身倦怠などの二日酔いに似た放射線宿酔という症状が現れます。更に強い線量を浴びた場合には、各種の血球減少症が起き、出血が増加すると共に免疫力が低下します。重症の場合は30〜60日程度で死亡します。この様式の死は骨髄死といわれます。 皮膚は上皮基底細胞の感受性が高く、3シーベルト以上で脱毛や一時的紅斑がみられます。 消化管も放射線に対する感受性が高い臓器です。5シーベルト以上被ばくすると、小腸内の幹細胞が死滅し、機能細胞を補給することができません。そのため、腸上皮が消滅し、吸収力の低下に伴う下痢や、細菌感染が発生します。重症の場合は20日以内に死亡します。この様式は胃腸死といわれます。 数10シーベルト以上の非常に高い線量の被ばくでは、中枢神経に影響が現れ、意識障害、ショック症状を伴うようになります。高線量を被ばくした場合には、中枢神経への影響は他の臓器よりも早くみられ、ほとんどの被ばく者が5日以内に死亡します。②放射線の晩発影響 晩発影響は、放射線に被ばくし、急性障害から回復したあと、数ヶ月から数年後に現れる身体への影響です。晩発影響として、がんや白内障などがあります。広島・長崎の原爆被ばく集団の疫学調査からも、放射線被ばくによって発がんリスクや、白内障の発症頻度が放射線影響の分類放射線による急性障害

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