知っておきたい放射線の正しい知識
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デンマーク0.33(0.45)( )最高値ノルウェー0.63(10.5)中国0.54(3.0)ドイツ0.48(3.8)インド0.48(9.6)ケララ[インド]3.8(35)ラムサール[イラン]10.2(260)日本0.43(1.26)陽江[中国]3.51(5.4)アメリカ0.40(0.88)ガラパリ[ブラジル]5.5(35)(文部科学省 : 原子力・放射線の安全確保より抜粋)1011第3章放射線の人体への影響 下の図は、世界各地の大地から受ける年間自然放射線量を示しています。世界各地における年間自然放射線量はほぼ同じレベルで約0.5ミリシーベルトです。しかしながら、中国の陽江地域、ブラジルのガラパリ、インドのケララ地方、イランのラムサールなどは、世界平均値と比較して、数倍から数十倍も大地から受ける自然放射線量が高くなっています。これらの地域の土壌や岩石に含まれる放射性物質が、他の地域と比べて高いことが原因と考えられています。自然放射線の多い地域である中国の陽江地域、ブラジルのガラパリ、インドのケララ地方、イランのラムサールなどに住む人達を対象に健康影響への調査が行われていますが、これまでに特別な健康被害は報告されていません。世界各地の大地から受ける年間自然放射線量(単位:ミリシーベルト)(1993年国連科学委員会報告書等により作成)(1)放射線に対する組織の感受性 放射線が体に及ぼす影響は、体の組織や臓器によって異なります。放射線に対する影響度の違いを放射線感受性といいます。放射線に対する感受性は、 ①細胞分裂の頻度が高い組織ほど感受性が高い、 ②将来行う細胞分裂の数が多い組織ほど感受性が高い、 ③形態・機能が未分化な細胞ほど感受性が高いといわれています。この法則は「ベルゴニー・トリボンドーの法則」と呼ばれています。分裂が盛んな血液や骨髄などの造血器、皮膚、消化管粘膜などの組織は放射線感受性が高く、一方、分化が終了している筋肉組織や神経組織は放射線感受性が低いことが知られています。(2)放射線影響の分類 私たちが放射線を浴びた場合、被ばくした線量に依存し、時間経過とともに様々な人体影響が現れます。放射線を浴びた本人のみに現れる影響を身体的影響、その子孫に現れる影響を遺伝的影響といいます。また、放射線影響が現れるまでの期間により、急性影響と晩発影響に分類することができます。放射線影響の発生と被ばく線量に着目した場合には、確定的影響と確率的影響に分類することができます。

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