知っておきたい放射線の正しい知識
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0白血病10白血病以外の固形がん20被ばく後の年数3040(年)(加藤寛夫他:原爆放射線の人体影響 1992,文光堂)1415高くなることが明らかにされています。 放射線の被ばくによって最も発がんリスクが高くなる疾患は白血病です。白血病は被ばく後2〜3年で影響が現れ始め、約6〜8年でピークに達し、その後減少します。白血病以外のがん(固形がん)に関しては、膀胱がん、乳がん、肺がん、卵巣がん、甲状腺がん、大腸がんなどで放射線と発がんリスクに関連がみられます。固形がんは、白血病と異なり、被ばく後、10年くらいから発がんリスクが増加し始め、今も増加しつつあります。 広島・長崎の原爆被ばく者集団の疫学調査から、約1グレイ浴びると、1.5倍がんのリスクが高くなることが明らかにされています。また、100ミリグレイ未満の被ばく線量では、放射線の発がんリスクは明らかにされていません。 (4)放射線の遺伝的影響 遺伝的影響とは、放射線を受けた本人ではなくその子孫に現れる身体影響です。精子や卵子などの生殖細胞が被ばくを受け、その後受精し成長した個体でみられる影響です。しかし人については、広島・長崎の被ばく者の調査においても、遺伝的影響は認められていません。 (5)確定的影響と確率的影響 被ばく後の影響の発生と被ばく線量に着目した分類方法があります。確定的影響と確率的影響に分類されます。確定的影響には、急性影響でみられる症状や晩発影響でみられる白内障があります。確率的影響には、がんや遺伝的影響があります。 確定的影響には図に示すように、影響が発生する最低の線量、すなわち、しきい値が存在するという特徴があります。確定的影響において、しきい値以下でも各組織で細胞死などが起こっていますが、組織・器官の機能低下にはつながらず、症状として発症しません。しきい値以上では、個体差を無視すれば、誰もが機能障害に至ります。また、確定的影響の特徴として、線量が増加するにつれて障害の重篤度が増加します。 一方、確率的影響においては、線量の増加に伴って影響の発生頻度が増加します。確率的影響にはしきい値がなく、放射腺による発がん、及び遺伝的影響はどんなに低い線量においても被ばく線量に相関した影響があらわれると考えられています。放射線誘発がんの時間的経過

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