知っておきたい“腹痛(おなかが痛い)”のポイント
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表3 「おなかが痛い」のポイント45■お腹はいつから痛いのか 痛みは突然痛くなったのか? (どれくらいの時間で悪くなったか) 痛みは繰り返すのか? ■時間経過はどうか 痛みは徐々に増悪しているか? 持続時間はどれくらいか? 痛みのピークはいつか?■痛みはどんな痛みか ・ 絞るような痛みか ・ 持続的な痛みか  ・ 波のように繰り返す痛みか■痛みが増悪する・和らぐことは ・ 食後に悪化する    → 胃潰瘍、膵炎、胆石発作 ・ 食後に楽になる    → 十二指腸潰瘍、胃食道逆流症 ・ 歩行や体動で悪化する → 腹膜炎  ・ 深呼吸で悪化する   → 胸膜炎、肺炎、肋骨骨折、肝周囲炎 ・ 臥位で悪化する    → 胃食道逆流症、脊髄圧迫 ■腹痛以外の症状は ・ 発熱はどうか ・ 吐き気、嘔吐は ・ 食欲はどうか、水分はとれるか ・ 排便はあるか  血便、黒色便、便秘、下痢  ・ 排尿はどうか  頻尿、排尿時痛、血尿、尿の量は ・ 睡眠はどうか ・ 帯下・不整出血の有無(女性)■手術したことがあるか  今まで入院したことは■アレルギーの有無■現在服用している薬剤・健康食品 ■月経歴、妊娠の有無腹痛の原因を調べる検査とは?臓器の視点からみた疾患と腹痛のかかわりは?●尿検査:尿量、尿の色(血尿、ビールのような褐色尿)、尿糖●便検査:便潜血、血便、培養(細菌性腸炎疑いのとき)●末梢血検査:白血球数、赤血球数、血小板数●血液生化学検査:肝機能、腎機能、アミラーゼ、電解質(ナトリウム、 カリウム、カルシウムなど)●心電図:心筋梗塞、狭心症 ●単純X線検査:腸管のガスの分布、臓器腫大、骨の異常●超音波検査:すぐに実施可能であり、胆石などの胆道系疾患、腹部大 動脈瘤、腹水の有無などの診断に有用です。●CT検査:単純X線検査や超音波検査に比べ、所見の客観性に優れ、 骨・腸管ガスの影響を受けることが少ない検査である。消化管穿孔 や血管性病変の診断に、CT検査は重要な役割をもち、第一選択で 実施されることもある。●上部・下部消化管内視鏡検査:消化性潰瘍、消化管の悪性腫瘍  以上、腹痛を訴える患者さんには、これらの検査を必要に応じて系統的に実施されます。お腹が急に痛くなったような腹痛では、精密検査をしても原因が確定できないこともあり、慎重に経過をみていくことが必要なこともあります。 表1に示された各臓器の病気が腹痛とどのようにかかわるのか、主なものから説明していきましょう。頻度としては、消化器疾患、婦人科疾患が多く、次いで、心・血管・呼吸器疾患、泌尿器科疾患と続きます。また糖尿病に伴うこともあります。

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