知っておきたい“腹痛(おなかが痛い)”のポイント
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表1 臓器別の視点からみた病気表2 緊急度別にみた腹痛をきたす疾患23・ 消化管(虫垂炎、消化性潰瘍、腹膜炎、腸閉塞、過敏性腸症候群、逆流性食道炎)・ 肝胆膵(胆嚢炎、肝膿瘍、肝炎、急性膵炎、総胆管結石、胆石発作)・ 心臓・血管疾患(心筋梗塞、狭心症)・ 塞栓症または血栓症(腸管膜動脈塞栓症、腎梗塞)・ 血管破綻(大動脈瘤破裂、大動脈解離)・ 呼吸器疾患(肺炎、胸膜炎、肺塞栓、気胸、食道穿孔)・ 泌尿器疾患(尿管結石、腎盂腎炎、尿閉、精巣捻転)・ 代謝性疾患(糖尿病性ケトアシドーシス、副腎不全、高カルシウム血症)・ 婦人科疾患(子宮外妊娠破裂、骨盤内感染症、卵巣出血、卵巣捻転、月経痛など)・ 筋骨格疾患(帯状疱疹、腹直筋外傷、椎間板ヘルニア)1) 1分1秒を争う緊急手術を要する   大動脈瘤破裂、腹腔内出血、子宮外妊娠などによるショック  (難治性血圧低下、冷感、ふらふら)2) 緊急処置を要するが、最小限の検査などをする余裕がある(数時間)  消化管穿孔・破裂、急性虫垂炎、腸重積、腸間膜血管閉塞症、急性化膿性胆管炎3) 手術、侵襲的治療の可能性はあるが、詳しい検査をする余裕がある(数日間)  急性膵炎、急性胆嚢炎、肝膿瘍、腸閉塞、大腸憩室炎 4) 内科的治療  消化性潰瘍、炎症性腸疾患   腎盂腎炎、Fitz-Hugh-Curtis症候群、感染性腸炎腹痛をひき起こす疾患とは?腹痛の診断に必要な情報とは?(症状のはじまり、うつり変わり) 腹痛の原因となる病気は、お腹の中にある胃腸や肝臓などの内臓疾患以外でも、心臓、肺、腎臓、卵巣・子宮などの臓器の病気でもおこることがあります(表1)。また、緊急を要する腹痛をきたす病気を表2に示しておきますので、参考にしてみてください。 腹痛の原因を調べるときに血液検査やエコーなどの画像検査も重要なのですが、症状の経過も診断に必要な情報となります。とくに「痛み」の発症様式、時間経過は大切なポイントです。特に、数秒から数分間でピークに達するような突然の痛みは、消化管、胆管、血管などが閉塞したり、破裂したり、捻じれて生じることがあります。 医療機関受診の際には、以下のポイントについて説明できるようにしておきましょう。危険な徴候としては、①突然発症で最悪の痛み、②増悪していく痛み、③夜眠れない痛み、④歩くとき響く痛み、⑤食事がとれない痛み、⑥嘔吐や発熱が続くなどの項目に該当するようでしたら、医療機関を受診することを考えてみてください。腹腔内臓器からの疼痛〜消化器疾患〜腹腔外臓器からの疼痛

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