知っておきたい“腹痛(おなかが痛い)”のポイント
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1415②性交渉に関する問診 特定のパートナー以外との性交渉歴について聞かれることもあります。これは、クラミジアや淋菌など性行為によって感染する性行為感染症(骨盤内感染症)の診断のために必要な問診です。不特定多数との性交渉がなければ性行為感染症の可能性は下がりますが、特定のパートナーが菌を保有しているとこの病気に感染することもあります。③月経に関する問診 最終月経、月経周期、月経量などについての質問されます。月経が遅れている場合の腹痛では正常妊娠、子宮外妊娠、流産の可能性が、中間期であれば排卵痛の可能性が考えられます。月経中の強い腹痛や月経量の増加、期間の延長は子宮内膜症や子宮筋腫が疑われます。 突然の腹痛であれば、破裂(子宮外妊娠の卵管破裂や卵巣腫瘍破裂など)、捻転(卵巣腫瘍茎捻転など)、出血(卵巣出血など)が考えられます。卵巣腫瘍の破裂は、運動や性交時に発症することが多く、卵巣腫瘍茎捻転は急激に体位を変えた時に認めることがあるので、何をしている時に腹痛が出現したかを伝えることも大切です。数日かけて徐々に痛くなる場合は、骨盤内感染症(性行為感染症)等が疑われます。産婦人科関連の腹痛の多くは下腹部に認めることが多いです。一方、クラミジアによる骨盤内感染症(性行為感染症)では、炎症が肝臓周囲に及ぶことで右上腹部(右肋骨の下部分)が痛むこともあります。 性器出血の有無や月経歴が診断の手がかりとなります。その他、発熱(骨盤内感染症)、吐気・嘔吐(妊娠関連、卵巣茎捻転)も随伴症状として認められます。8. 子宮外妊娠 受精卵が、子宮内腔以外の場所に着床して発育することを子宮外妊娠と言います。子宮外妊娠は全妊娠の1〜2%に起こり、約98%が卵管妊娠です。症状は、妊娠週数、着床部位、中絶(流産)の有無により多彩ですが、放置された場合、破裂や流産により死に至る可能性があるため、妊娠の可能性がある女性の腹痛では常に注意を要します。破裂が迫っている場合、破裂している場合、全身状態が悪い場合には緊急手術が必要です。発症様式腹痛部位と疾患腹痛をきたす頻度が高い産婦人科関連疾患随伴症状と疾患

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