家庭で知っておきたい耳鼻咽喉科の救急
9/18

眈 のど(咽頭・喉頭)の痛み眇 息苦しさ(呼吸困難)眄 飲み込めない状態(嚥下障害) 息苦しさ(呼吸困難)のある疾患や飲み込めない状態(嚥下障害)とな舌 1011(図8) ながる気道に誤って食物などが入らないようにする働きをしています。また、喉頭には発声器官である声帯が存在します。 る疾患には、局所(のどの病気)のほかに全身の病気の症状として生じているものも多くあります。(例えば、心筋梗塞などから自覚する呼吸困難や脳梗塞から発症した嚥下障害など)耳鼻咽喉科が取り扱う、のど(咽頭・喉頭)の疾患のほとんどは、のどの痛みを同時に生じている炎症性の疾患です。のど(咽頭・喉頭)の痛みは感冒などにより、ほとんどの人が一度ならずとも経験したことのある症状でしょう。救急での診療を考慮するに当たっては、その痛みの程度とともにのど(咽頭・喉頭)の重要な症状(呼吸と嚥下)が障害されているかどうかによります。  ①痛みの程度 軽いもの  →いわゆる“のど風邪”の痛みのとき(摂食可能) 中咽頭にはワルダイエルの咽頭輪に囲まれた扁桃の組織が存在します。口を開けた時に舌の両奥にみえる扁桃は口蓋扁桃です。(図8)下咽頭はその前方を喉頭に押しつぶされた形状で嚥下時のみ食道へ食物を通すようにひらきます。喉頭は気管へとつ  感冒、急性咽喉頭炎など:ウイルス感染や細菌感染による咽頭の粘膜炎症や粘膜の乾燥によります。  ②痛みの程度 中等度のもの  →片側性の強い痛みがあるとき(摂食困難)   急性扁桃炎<扁桃周囲炎<扁桃周囲膿瘍など:ウイルス感染や細菌感染による扁桃の炎症腫脹。(図9)扁桃の周囲まで炎症が波及したり、膿(うみ)がたまったりすると、内服の治療だけでは改善が難しく、入院による点滴や膿をだすために切開排膿する手術治療が必要となることがあります。(図10)  ③痛みの程度 重いもの  →嚥下時の強い痛みがあるとき。(唾液の嚥下も困難)体を横にする(臥位になる)と呼吸が苦しいとき。   急性喉頭蓋炎、下咽頭の膿瘍など:気管に水分や食物が入らないように働いている喉頭蓋という蓋があります。喉頭蓋に炎症が生じると、飲み込むたびに動く部位なので、強い嚥下時の痛みを生じます。この部位が腫れ上がると空気の通(図9) 口腔、咽頭の解剖扁桃周囲炎、周囲膿瘍の炎症の場所と所見急性喉頭蓋炎の炎症の場所と所見扁桃炎の炎症の場所と所見(口蓋)扁桃上口唇下口唇口蓋垂咽頭の後壁多くは片方のみの口蓋扁桃とその周囲の咽頭の発赤、腫脹口蓋垂の偏位痛みなどで口が開けにくいことあり(図10) 口を開けても舌の奥深く口からは直接は見えない場所です。(図11) 喉頭蓋の発赤、腫脹口を開けると舌の両横奥に見える場所です。口蓋扁桃の発赤、腫脹

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る