67ません。ただし、めまいの症状を伴うような突発性難聴などでは、めまい症状に対して入院による対症治療を必要とすることがあります。急性の高度難聴では、ステロイド治療をできるだけ早期に行う方がよいとの報告もありますので、発症後1週間以内くらいまでの受診がすすめられています。難聴以外の症状があるときは、はやめの診療がよいでしょう。 聴力検査によって、外耳から中耳までの間の異常で生じる難聴を伝音難聴と呼び、内耳より脳へ向かう側(中枢側)の異常で生じる難聴を感音難聴と呼びます。また、感音難聴のうちで特に内耳(その形状から“迷路”とも呼ばれる)より中枢側の異常で生じる難聴を後迷路性難聴と呼んで区別しています。難聴をきたす疾患は原因の部位により多岐にわたるため、その治療方法もそれぞれ異なります。 蘯 回転性めまい ①じっとしていても持続的にまわるめまい。 →耳鳴りや難聴など、その他の耳の症状があるとき。(メニエール病、外 →眼前暗黒感や手足の麻痺、感覚異常があるとき。(中枢性のめまい、 →めまい以外の症状は強くないとき。(前庭神経炎など) ②じっとしていると止まっているが、体(頭)を動かすとめまいが生じる →生じためまいは1分以内の短時間でとまるとき。(良性発作性頭位めま →立ちくらみのように起立時にふわーとするとき。(起立性調節障害など) リンパ瘻など) 一過性脳循環不全によるめまいなど) とき。 い症、前庭機能障害など) まずは安静にして横になります。このとき強い頭痛や意識の低下がある場合は、脳出血や脳梗塞などの中枢性のめまいの可能性があるため、一般救急での診療が優先されます。安静の状態で、しびれ感や手足の運動麻痺を確認した場合もやはり中枢性のめまいの可能性が高く、脳卒中を考慮した救急対応が必要となります。 上記の頭痛(特にこれまでに自覚したことのないような強い頭痛)、意識障害、体の麻痺(特に片側の手足の麻痺など)、口腔の周囲など顔面の知覚の低下などは、脳卒中など中枢性の障害の一症状としてのめまいの可能性が高く、脳神経外科・脳神経内科への救急受診がすすめられます。それらの症状がない場合でも、じっとしていてもめまいによる吐き気や嘔吐の症状のために、飲水や摂食ができないときには救急受診が必要です。体の水分、塩分が失われて脱水症状となり体が弱るためです。良性発作性頭位めまい症のようにじっとしていると止まっているめまいで飲水や摂食が可能な場合は、安静のまま様子をみて翌日以後の診療受診で問題ありません。 体はいろいろな情報を統合して平衡を維持しています。内耳からの情報は頭部の傾きや頭部の動きを感知していますが、その他にも視覚による情報(周囲の景色と自分の体の位置関係の情報)、体の筋肉からの情報(重力に対して体を支えている筋肉からも絶えず体の状態の情報)を脳で統合して体は平衡を保っています。めまいは体のバランスについてのこれらの情報の統合が保てないときに自覚される症状です。そのため、これらの情報急性の難聴の解説 回転性めまいへの対応 救急受診をする目安 めまいの解説
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